石鹸ができるまで

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石鹸の製法について

石鹸の製造方法は、ニートソープを作るまでの工程と、ニートソープから成型するまでの大きく2つの工程に分けることができます。

ニートソープ(neat soap)とは

ニートソープとは何かということで、neat という単語をみると「きちんとした、こぎれいな、整った、均整のとれた」といったような意味があります。
このことから、おおおそ見当がつくのですが、ニートソープとは、水分を約30%含んだ純良な溶融石けんです。

 

石鹸の製法では、設備費用が安いことから釜炊きけん化法(バッチ法)と呼ばれる方法が一般に行われていますが、これは、釜に油脂を入れ、攪拌しながら水酸化ナトリウムなどを混ぜてけん化させ、さらに食塩を加えて水分を分離し、水分を約30%含んだ純良な溶解石けんを取り出していきますが、塩析により下層にはグリセリンや過剰の水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、塩分、水溶性不純物などが落ち、中間層にはニガーソープと呼ばれる不純物を比較的多く含んだ質の悪い溶融石けんができ、上層に純良な溶融石けんができます。
この上層にできた溶融石けんがニートソープとして固形石鹸を作る材料になっていきます。

石鹸製造過程の第一段階 : ニートソープができるまで


 

釜炊きけん化法(バッチ法)

オープンの釜に油脂原料を仕込み、加熱・攪拌しながら水酸化ナトリウムを加えていきます。
すると反応が起こり、油脂+水酸化ナトリウムから、脂肪酸+グリセリンが得られます。
さらに脂肪酸は水酸化ナトリウムと反応して脂肪酸ソーダつまり石けんとなっていきます。
この一連の反応が『けん化反応』です。

 

その後、攪拌しながら食塩を加えていくと石けんは塩水に溶けにくい性質があることから水分が分離し、下層に水分や水相と混和したグリセリンがきて、石けん部分と分離します。これが『塩析』です・
下層の塩やグリセリンは回収でき、さらに塩析を繰り返すことで、ニートソープを得ます。

 

連続けん化法

釜炊きけん化法(バッチ法)は、設備費が安く済むことから広く用いられていますが、けん化反応に時間がかかることが欠点で、ニートソープができるまで3~5日ほど要してしまいます。
そこで、油脂と水酸化ナトリウムの接触を均一かつ高速にするために、油脂と水酸化ナトリウムが均一に接触するように改良を加えた方法になります。

 

中和法

油脂を高圧分解釜に入れて高圧加水分解を起こさせ、脂肪酸とグリセリンに分解してから、得られた脂肪酸にアルカリを反応させ、中和させることで石けんを得る方法です。
釜炊きけん化法(バッチ法)や連続けん化法といったけん化法と違い、未反応の油脂やグリセリンといった不純物が出ないため、塩析をする必要がないことから、製造時間を短縮することができます。
一方、分解した脂肪酸が劣化しないように中和したり、グリセリンなどの添加物を品質向上のために加えたりする必要がありますが、脂肪酸の組み合わせの自由度が高い上、設備技術も上がってきていることから、中和法も多く採り入れられるようになっています。

 

エステルけん化法

少量の水酸化ナトリウムを触媒として、油脂とメタノールを60℃で反応させて、脂肪酸のメチルエステルを作り、グリセリンを分離して脂肪酸メチルを得て、それを水酸化ナトリウムでけん化して石けんを作るという方法です。
メタノールは回収循環使用ができるというメリットがあり、けん化藩王もすばやく完全に行われますが、メタノール回収整備が必要になるといった問題もあります。

石鹸製造過程の第二段階 : ニートソープから固形石鹸ができるまで

ニートソープから固形石けんの製品化(成型)までは、枠練り法と機械練り法があります。
多くの化粧石けんの製法の主流となっているのは、機械練り法で、連続作業の簡素化ができない枠練り法と比較すると生産性が高いという大きなメリットがあります。

 

枠練り石鹸

ニートソープに香料などの添加物を加え、均一に混合してから枠に流し込んで冷やし、固化させて作ります。
枠練り石鹸の特徴としては、溶けにくく、溶けて崩れたりすることがありません。一方その分、泡立ちがやや劣ります。
また枠練り石鹸を作る際に、添加物を加えてから乾燥させたりするので、添加物として加える香料などの成分は、熱安定性が良いものでないとできません。
透明石けんは、多くがこの枠練り法で作られています。

 

機械練り石鹸

機械練り石鹸は、milled soap とも呼ばれ、ロールなどで薄片化した石けんを完走した後に成型する製法です。
ニートソープを細片化してから熱風式あるいは減圧式の乾燥工程を通した後、水分約15%の石けん片としてから、香料などの添加物を加えて約40℃で練り混ぜて成型していきます。