生命関連物質である医薬品は、その承認にはものすごいデータを集め、厳しい審査を通る必要があります。
医薬品を開発しようとなると、まずその標的を決め、薬のタネとなるような成分を探索します。
薬のタネを見つけるというのは医薬品開発のごく初期段階ですが、それにはスーパーコンピューターも駆使して、いろいろな工夫がなされています。

数百万種の物質からさがされる薬のタネ

数百万種の物質から探しあてる薬のタネ
薬を開発するときに、標的となるタンパク質を決めたら、そのタンパク質と「鍵」と「鍵穴」の関係にある化合物を見つける作業がはじまります。

この疾患に効き目を出すには、生理学的・病理学的に、この受容体のこのタンパク質に働く薬ということで標的が決まり、薬のタネの候補となるものの探索になるのです。

そのとき候補にあがってくる物質の数は、数百万種とも言われています。

ええ、そんな数百万種って気が遠くなるような・・・と思いますが、医薬品を開発する製薬メーカーは、数百万種にも及ぶ化合物を集めた『化合物ライブラリー』を持っているものです。

実際にはこうしてみつけた薬のタネですが、その薬のタネでさえ、新薬になれる確率は8%程度だと言われています。

化合物ライブラリーとは

化合物ライブラリーは、人工的に合成された化合物を集めた「合成化合物ライブラリー」と、植物やキノコ・カビ・最近などの天然物から発見された化合物を集めた「天然化合物ライブラリー」があり、これらの多種多様な化合物を1つずつ取りだして、標的となるタンパク質と同じ溶液中で混ぜ合わせることで、どのぐらいの強さでタンパク質と結合するのか、つまり鍵と鍵穴の関係の鍵の役割を果たすかを調べていきます。

実際に、製薬メーカーでの開発では、1週間で数万種の化合物を検査することもあり、薬の候補を絞り込んでいきます。この薬の候補を絞り込む佐合のことを、HTS(ハイ・スループット・スクリーニング)と読んでいます。

合成化合物ライブラリーは、「コンビナトリアル・ケミストリー」と呼ばれる方法によって、多くの化合物を一気に合成できるようになっています。

スパコンで鍵穴の形を精密に予測する時代へ

最近の技術の進歩はめざましく、理化学研究所などでは、スーパーコンピューター「京(けい)」を使って、いろいろなことが行われています。
医薬品の分野でも、このスーパーコンピューター「京」を使って、タンパク質の分子構造や、細胞内でのタンパク質の動きを精密に予測しようとする研究も行われています。

このようにスーパーコンピューターを使い、よりよい薬の分子形を高速で判別することが可能になることで、薬の開発にかかる時間とコストが大幅に改善されます。