マイナンバー制度の話題が出てきているところで、薬剤師の守秘義務といった点について、考えてみたいと思います。

薬剤師の守秘義務に関する法的根拠は?

薬剤師は、医師から処方箋が回ってきたり、適切な調剤のために患者にアンケートを答えてもらったり、患者の氏名や住所はもちろん、病歴やアレルギーといったものまで薬歴管理のために情報を集めています。当然、患者の秘密を知り得る立場にあるといえます。したがって、厳しい守秘義務が課せあられるのも当然ということになります。

それでは、薬剤師の守秘義務ってどんなことなのか? 薬事法(医薬品医療機器等法)や薬剤師法を一生懸命紐解いても、該当するようなことは書いてありません。実は、守秘義務については刑法の問題なのです。刑法134条をみると、次のように記載されています。

刑法(秘密漏示)
第134条
1.医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

コイツに違反すると親告罪ということになります。

看護師や臨床検査技師は出てきていないのに、医師や弁護士と同列に薬剤師が出てきています。

それだけ医療の担い手として患者のプライバシーを扱う職種として認識されていて、患者のプレイバシーについて他者に漏らしてはいけないということがきつく規定されています。

もし、業務上取り扱って知り得た情報について秘密を漏らした場合は、6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられますと刑法では述べています。

刑法134条の2つの疑問

この刑法134条の守秘義務に関する条文を読んでいくと2つの疑問が生じてきます。
1つ目は、同じ医療従事者でも、看護師はいいのかな?

獣医師や歯科医師は医師に含まれるとしても、たしかに看護師も、医師や薬剤師ほどではないにしても、患者情報に接する機会はあります。
看護師の場合は、保健師助産師看護師法の第42条の2

「保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする。」

と規定されています。

臨床検査技師も、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の第19条に同じように守秘義務に関する規定があります。

それ以外の医療関係者においても守秘義務の規定がされています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0623-15p.html

なぜだか、医師・歯科医師・薬剤師は刑法で定められているのです。

もう一つの疑問が、「正当な理由」って何よ!? ということです。
正当な理由とは、法により命じられる場合など。

う~ん、また「など」なんてあいまいな言葉でごまかしています。。。
まずは、法により命じられる場合ってどんな場合かというと、母体保護法に基づき人工妊娠中絶につき都道府県知事に届け出る場合や結核予防法に基づき保健所長に届け出る場合等が考えられます。
また最高裁の判決では、医師が、必要な治療又は検査の過程で採取した患者の尿から違法な薬物の成分を検出した場合に、これを捜査機関に通報することは、正当行為として許容されるものであって、医師の守秘義務に違反しないとされています。