新型ノロウイルスが怖い理由は?

ある日突然下痢になってしまう新型ノロウイルスが話題になっていますが、今まで流行していたのは、ジーツーフォー型というタイプが主流でしたが、ジーツーセブンティーン型という人が免疫をもたないタイプが新型ノロウイルスとして2014年3月、神奈川県の川崎にある川崎市健康安全研究所で発見されました。
もともとインフルエンザの千倍ともいわれる強力な感染力をもっているノロウイルスですが、人が免疫をもたないというところから、大流行する可能性があるところが、恐れられている一番の理由です。

川崎で発見されたことから、新型ノロウイルスは、川崎変異株ともいわれています。
ノロウイルスはどんどん変異してきましたが、今回の新型ノロウイルスは、自動車でいえば、フルモデルチェンジに近い感じで、名前は同じだけれども、形も違えば、エンジンも違うといった大幅な変異となっています。

新型ノロウイルスと腸内細菌・柿渋との意外な関係

人の腸内で爆発的に増殖するノロウイルス

ノロウイルスは、人の腸内のみで増殖します。従って実験室レベルで増殖させることが難しく、こうしたことがノロウイルスのワクチンや薬の開発の障害になっています。
感染すると8時間後には、腸内で数十万倍にもなり、小腸の壁を破壊しまくり、破壊しつくしたら増殖が終わり排泄されて、症状が治まっていきます。

ノロウイルスの発生源は、牡蠣ではなく人間の排泄物

ノロウイルスの食中毒の原因とされる牡蠣をはじめとする二枚貝ですが、この牡蠣に含まれるノロウイルスは貝の中で海水が濃縮されて濃くなっているものです。牡蠣の中でノロウイルスが増殖するということはありません。

それでは牡蠣がいる海水ではどうかというと、1リットル中ウイルスが1個程度、川をさかのぼっていくと、1リットルあたり100個から1000個と増えてきます。そして、桁違いに多いのが、下水処理場で、下水1リットルあたり、10万個という数字が出ています。つまり、ノロウイルスのもとは、トイレといってもいいのかもしれません。

ノロウイルスは強いウイルス

普通のウイルスは、エンベロープと呼ばれる脂質の膜をもっていますが、ノロウイルスには、このがいひまくともいえるエンベロープがない小さいウイルスになっています。エンベロープを持たないので丈夫で、環境に比較的強く、消毒剤や除菌剤によっては効かない場合があります。

消毒は、マスクをして次亜塩素酸で行います。
トイレの消毒などでは、便座はもちろん、手で触るようなところ、ドアノブやスイッチ、レバーなどもしっかり消毒することがポイントです。
手洗いは、それ自体殺菌効果はありませんが、ウイルスを洗い流すということから、15秒以上しっかりと行うようにすることが望ましいでしょう。

ウイルスも薬もないノロウイルスを99%破壊するあるものとは

人の糞便から単離される腸内細菌の菌株(Enterobacter sp. SENG-6)に、ノロウイルスを吸着させるという働きがあります。
もし、この腸内細菌にノロウイルスをキャッチさせることができれば、腸内細胞へのノロウイルスの感染を抑えることができる可能性があることから注目され、プロバイオティクスへの応用などの研究が進められているとともに、下水処理でもこの腸内細菌によって、ノロウイルスを吸着させ、ろ過しようという研究も進められています。

腸内細菌の他に、広島大学で研究されノロウイルスに有効であるとされているのが、渋柿で、渋柿に含まれているタンニンが、ノロウイルスのタンパク質と反応して、ノロウイルスがかたまり、コンクリート詰めにされたような状態になることから、ノロウイルスの感染を抑えることが期待されています。

ホームセンターなどでは、渋柿(無臭)などが売られているので、これを薬局で購入した消毒用エタノールで10倍に薄めて、消毒に使うと良いでしょう。
(飲んだりしてはいけません)

乳製品に含まれているラクトフェリンも、腸の表面にぴったりと貼りついたようになり、腸内にバリアのようなものをつくり、ノロウイルスが腸内細胞に侵入しにくくする働きがあり、感染が激減したという報告もあります。
さらに、ラクトフェリンは胃でラクトフェリシンに変化して、これが直接ノロウイルスに吸着し、この働きによってもノロウイルスの腸内細胞侵入を防ぐと言われています。