歳をとってくると、よく物忘れが多くなったりします。
しかし、本当にそうなのでしょうか。

歳をとることによって向上する能力もある

一般には、歳をとると昔に比べて新しいことをなかなか覚えられなくなったとか、テレビでみた俳優の名前が、喉まで出かかっているのになかなか出てこないといったことがあります。
確かに、実際に画像パターンを認識したり、空間的な状況をとらえる能力というのは、歳をとるとともに低下していく傾向があります。

流動性知能と結晶性知能

最近、高齢者の自動車事故というものが増えてきていますが、これは日本が高齢化社会になって高齢者の人口が増え、高齢ドライバーが増えてきたからということが考えられます。
高齢により反射神経がにぶくなってきているということもありますが、高齢により、画像パターン認識力や、空間的な状況の把握力が落ちてきてしまった結果、交通状況を速やかに判断できなくなるということが原因なのかもしれません。
この、画像パターン認識力や、空間的な状況把握力は、『流動性知能』とも呼ばれます。

この『流動性知能』に対するのが『結晶性知能』と呼ばれるものです。
『結晶性知能』とはどういうものかというと、言葉や数を用いて知識を学習し、理解し、考えて、表現して、社会に適応していく能力です。
そして、言語的な能力は、老化によって衰えず、むしろ上昇するのです。

結晶性知能は、加齢による低下はほとんどみられず、低下したとしてもその度合いは極めて緩やかなものです。
しかし、流動性知能はある年齢をすぎると、比較的速いペースで低下していってしまいます。

なぜ、結晶性知能は加齢により低下しにくいのか

結晶性知能は、言語の記憶力や数の記憶力になりますが、私たちが普通に生活している中で、人とコミュニケーションを取り、買い物などでおつりを計算したりしていて、日常生活の中でコミュニケーションを支える大きな役割を果たしています。

認知症は別として、高齢者でも、コミュニケーションにおいて、社会で活躍している人をみると、会話能力が低下しているということがないという事実がそれを物語っています。

普段から、言語能力を使い、活発に活動している人は、加齢とともに、その言語能力はますます円熟していくものです。

加齢とともに低下しやすい能力

加齢とともに低下しやすいのが、画像や空間配置を覚えたり、無意味な内容のものを機械的に覚えるといった能力です。

子供のころは新しい言葉を覚えていかなければなりませんが、歳をとるとそういった必要性もないというのも大きな理由になるでしょう。
人間の能力は使わないと退化するものです。

普段からいろいろな能力を使うということは大切なことなのです。

引きこもってしまうと、結晶性知能も低下しやすくなり、能力がさび付きやすくなります。
人とコミュニケーションを取るというのは、こうした能力を低下させないという点でみても、大切なことなのです。