ワーキングメモリと短期記憶

ワーキングメモリと短期記憶

勉強法や記憶術について、いろいろな情報を紹介していきます。

ワーキングメモリと机

記憶におけるワーキングメモリとは、一時的に記憶を留める働きのことです。
人間の記憶を机に例えると、引き出しの中にしまい込まれた知識や経験はハードディスクやUSBメモリで、机の上がワーキングスペースです。

 

ワーキングメモリは実際に机の上で作業をするときに、一時的に記憶に留めておくことができれば、いろいろな仕事ができるということになります。
つまり引き出しの多さや引き出しの収容能力ではなく、机の上の広さにあたるのがワーキングメモリです。

 

ワーキングメモリは数秒から数分といった短い時間に、限られた情報を一時的に覚えておくものであり、脳内のメモ帳です。
考えながら行動するときに働いている、現在進行形の記憶と言えます。

 

例えば、今日はカレーライスに使用。ニンジン・ジャガイモ・タマネギ・牛肉のうちニンジンとジャガイモはあったからタマネギと牛肉を買おうと思い、これをメモしないでもちゃんと買ってこれる、これがワーキングメモリによる働きによるものです。

 

会社で会議の日程を覚えているというのもこれにあたります。

 

ワーキングメモリを実感するのには、次の計算をするとよいでしょう。

 

3×5+8÷2 

 

3×5=15 これを覚えておきながら 8÷2=4 という計算をやって
覚えておいた 15に4を加えて 15+4=19
答えは19と出す、この一連の作業の中で15を覚えて活用しているのが、まさにワーキングメモリの働きです。

 

そして、このワーキングメモリの働きを競い合うゲームといえば、トランプの神経衰弱になります。
トランプの神経衰弱は意識してゲーム中は覚えていますが、ゲームを終えると、忘れてしまいます。

限界があるワーキングメモリ

残念なことに私たちのワーキングメモリには限界があります。個人差はあるものの、ワーキングメモリは、机の上の面積が限られているのと同じように、それほど多くの容量を覚えることはできません。
私たちが文章を読むときに、得意な分野や知っていることが多い分野の文章はすんなり読めると思います。そして苦手な分野やなじみのない分野の文章を読むと非常に疲れたりした経験はないでしょうか。

 

これはワーキングメモリが深く関与しています。
文書を読むとき、得意な分野や勝手知ったる分野の場合は、知らない言葉や言い回しはほとんど出てきませんので、これを知ろうとしてり理解しようとするのにメモリがあまり使われず、実際に使えるワーキングメモリが多く残っています。

 

しかし、慣れない分野は知らない言葉や言い回しが多く、これを知ろうとするのにメモリの大部分を使ってしまい、実際に使えるワーキングメモリはわずかになってしまいます。

 

わかりやすくいうと、メモリ残量が少ないPCと多くて余裕のあるPCで操作を行う差みたいなものになるかと思います。

 

たいていの日本人は、日本語の文書のほうが、英語の文書を理解するよりも楽です。日本語という勝手しったるものだからです。英語の文書の場合は、文書を理解するという前に、英語を日本語として理解しなければならず、あの単語ってどういう意味だったかなっていったことが起こると、そこでメモリが消費されてしまいます。

 

ワーキングメモリと似たものに、短期記憶がありますが、こちらは情報を保持するのみで、要はCPUがない単なる記憶媒体で、ワーキングメモリはCPU。
ワーキングメモリが数秒~数分しか記憶していないのに対し、短期記憶はその日または翌日くらいまではあったりする記憶です。