健康サポート薬局に係る研修実施要綱について(通知)

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内 容

健康サポート薬局に係る研修実施要綱について(通知)

薬生発0212第8号

平成二十八年二月十二日
厚生労働省医薬・生活衛生局長  

健康サポート薬局に係る研修実施要綱について(通知)


健康サポート薬局に係る研修実施要綱について(通知)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第1条第5項第 10号に規定する厚生労働大臣が定める基準(平成 28年厚生労働省告示第 29号。以下「基準告示」という。)が本日公布されたところです。

基準告示において、健康サポート薬局には、要指導医薬品等及び健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言、健康の維持増進に関する相談並びに適切な専門職種又は関係機関への紹介等に関する研修(以下「本研修」という。)を修了し、一定の実務経験を有する薬剤師(以下「研修修了薬剤師」という。)が常駐することを定めています。この本研修に必要な事項を取りまとめた「健康サポート薬局に係る研修実施要綱」を別添のとおり作成しましたので、ご了知いただくとともに、貴管下関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その実施に遺漏なきよう、よろしくお願いいたします。

(別添)

健康サポート薬局に係る研修実施要綱

1 目的・概要

平成27年9月に取りまとめられた「健康サポート薬局のあり方について」(「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」報告書)の内容を踏まえ、本研修の実施要綱を定めるもの。

2 本研修の実施機関、研修内容等について

(1)本研修の実施機関について

 本研修としては、本実施要綱に示す事項を満たした実施機関(以下「研修実施機関」という。)が実施する研修のみが認められること。

 研修実施機関は、本実施要綱に示す事項を適切に満たすことができる法人であり、個人は認められないこと。

 研修実施機関は、本研修の責任者、運営体制、研修実施形式、内容、時間数、内部評価体制、研修修了証交付等に関する実施要領を定めること。

 研修実施機関は、実施要領の作成にあたり、教育、学術等関係者等の参画を求め、本研修の実施体制の客観性を十分に確保すること。

 研修実施機関は、個人情報保護のための措置を適切に講じていること。

 本研修の講師は、実施する研修内容に関する専門的な技術・知識を有する者とすること。

(2)本研修の内容、時間数等

 研修実施機関は、②~⑤に定める全ての研修を提供すること。

 本研修は、次に掲げる研修により構成されるものであること。

 技能習得型研修(健康サポート薬局の基本理念、患者又は薬局利用者の訴えや状態に合わせた対応及び地域の実情に合わせた多職種連携を適切に実施できる能力の養成を目的とした研修をいう。以下同じ。)

 知識習得型研修(地域住民からの相談対応のために必要な、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬品等」という。)や健康食品等に関する知識をはじめ、地域の医療・保健等のサービスに関する知識、地域住民の健康な生活を支援するために必要な知識等の習得を目的とした研修をいう。以下同じ。)

 技能習得型研修は、別紙1に定めるものであり、各項目に定める学ぶべき事項を全て含み、各項目に定める時間以上であること。また、研修は講義及び演習により行うものとし、演習はグループ討議形式で行うこと。

 知識習得型研修は、別紙2に定めるものであり、各項目に定める学ぶべき事項を全て含み、各項目に定める時間相当以上の内容とすること。 また、知識習得型研修は講義により行うものとし、その際、講義はeラーニングにより行うことができること。

 本研修の修了に当たり、試験等により各項目に定める達成目標に到達していることを確認すること。

(3)研修修了証の発行等

 研修実施機関は、研修受講者が以下のすべてに該当することを確認し、研修修了証を研修受講者に交付すること。

 すべての技能習得型研修及び知識習得型研修を修了した者

 薬局において、薬剤師として5年以上の実務経験がある者

 研修修了証は、発行から6年間に限り有効なものとすること。なお、有効期限の2年前から有効期限の間に研修を再履修・修了した場合には、研修終了証の有効期限を6年間延長できること。一度研修修了証(無効である研修修了証を除く。)を受けた健康サポート薬剤師に対しては、別紙1中の「地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応」のみの受講で修了証を再発行しても差し支えないが、この場合であっても、その他の研修内容についても再履修を促すことが望ましいこと。

 研修受講者の氏名、研修内容等を適切に記録、保存すること。

(4)研修の第三者による確認について

 研修実施機関は、実施要領及び研修内容について、厚生労働省が指定する第三者機関(以下「指定確認機関」という。)に届け出て、確認を受けること。なお、指定確認機関については、学術的な面を含めて適切に確認できる機関を指定することとしており、追って通知する予定であること。
また、研修実施機関は、指定確認機関の求めに応じて、本研修に係る情報を提供すること。なお、厚生労働省からの求めがあった場合には、厚生労働省に本研修に係る情報を提供すること。

 研修実施機関は、毎年度、指定確認機関による確認を受けること。

 指定確認機関による確認を受ける前の技能習得型研修について、指定確認機関の確認を受けた内容と同等であるものについては、本実施要綱を満たした研修とみなして差し支えないこと。

(5)その他

 研修実施機関は、本研修について、ホームページで受講者を広く募集する等、希望する全ての薬剤師が受講できるよう研修を公開すること。

 別紙1「技能習得型研修」の「3.地域包括ケアシステムにおける現状と薬剤師の対応」の研修については、研修受講者は、自らが勤務等する薬局が所在する地域の地域包括ケアシステムに係る研修を受講すること。

 本研修が研修要件を満たしていないことが判明した場合は、当該研修実施機関が発行した研修修了証は過去に遡及してすべて無効とすること。

(別紙1) 技能習得型研修の内容

研修項目
学ぶべき事項
達成目標
時間
健康サポート薬局の基本理念
1.健康サポート薬局の概要(理念、各種施策・制度、背景等)

2.健康サポート薬局のあるべき姿に関する演習
1.健康サポート薬局の社会的な位置付けを説明できる。

2.健康サポート薬局の社会的ニーズを的確に把握でき、健康サポート薬局及び薬剤師のあるべき姿に向けて努力することができる。
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薬局利用者の状態把握と対応
1.薬局利用者の相談内容から適切に情報を収集し、状態、状況を把握するための演習

2.薬局利用者の状態、状況に合わせた適切な対応を行うための演習
1.薬局利用者との対話により収集した情報や身体所見などに基づき、薬局利用者の状態、状況を把握することができる。

2.薬局利用者の相談内容から薬局利用者のニーズをくみ取り、解決策を提案することができる。

3.薬局利用者の状態、状況に合わせた適切な対応(かかりつけ医や医療機関への受診勧奨、要指導医薬品等の推奨、生活習慣の改善のための助言、適切な対応先の紹介等)を判断し、実践できる。

4.相談対応後のフォローアップができる。
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地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応
1.地域包括ケアシステムにおける当該地域の医療・保健・介護・福祉の資源と役割の現状

2.地域包括ケアシステムの中で健康サポート薬局としての役割を発揮するための各職種・機関との連携に関する演習
1.地域包括ケアシステムにおける当該地域の医療・保健・介護・福祉の資源と役割の現状について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。

2.薬局利用者から健康の保持・増進に関する相談等を受けた際、適切な職種・機関へ紹介することができる。

3.地域包括ケアシステムの中で各職種・機関と連携した対応を行うことができる。
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(別紙2) 知識習得型研修の内容

研修項目
学ぶべき事項
達成目標
時間
地域住民の健康維持・増進
1.健康増進施策の概要( 健康日本21 、国民健康・栄養調査の概要等)

2.健康診断の概要(がん検診、特定健康診断を含む。)

3.健康づくりの基準の概要(「健康づくりのための身体活動基準20 13 」、「健康づくりのための睡眠指針2 01 4」、「食生活指針」、「食事バランスガイド」等)
1.健康増進施策の概要について、住民の目線でわかりやすく説明できる。

2.健康診断の概要について、住民の目線でわかりやすく説明できる。

3.健康診断の受診が必要な薬局利用者を発見した際に、適切な対応(かかりつけ医や医療機関への受診勧奨、適切な対応先の紹介)を判断し、実践できる。

4.健康づくりの基準の概要について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
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要指導医薬品等概説
1.薬局、医薬品販売業及び医療機器販売業並びに医薬品等の取扱いに関する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の規定

2.要指導医薬品等の基本的な薬効群を中心とした代表的な製剤の成分、効能効果、副作用、用法用量、使用方法(お薬手帳の活用を含む。)等

3.薬局利用者の個々の訴え別に、適切に情報を収集し状態、状況を把握するための知識(病態生理学、薬理学等)

4.要指導医薬品等に関する情報収集の方法(PMDAメディナビ等)
1.薬局、医薬品販売業及び医療機器販売業並びに医薬品等の取扱いに関する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の規定について、住民の目線でわかりやすく説明でき、住民の理解を得ることができる。

2.要指導医薬品等の基本的な薬効群を中心とした代表的な製剤の成分、効能効果、副作用、用法用量、使用方法(お薬手帳の活用を含む。)等について熟知し、地域住民が適切に使用できるように提供・指導できる。

3.要指導医薬品等の重篤な副作用の早期発見や認められた場合の対応について、地域住民にわかりやすく説明できる。

4 . 薬局利用者の状態に合わせた適切な対応(かかりつけ医や医療機関への受診勧奨、要指導医薬品等の推奨、生活習慣の改善のための助言、適切な対応先の紹介等)を判断し、実践できる。

5 . 新しく販売された要指導医薬品等について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
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健康食品、食品
1.特別用途食品及び保健機能食品並びに機能性表示食品制度の概要

2.健康食品による有害作用並びに食品及び健康食品と医薬品の相互作用

3.健康食品の最新情報

4.健康食品に関する適正使用と情報提供

5.健康食品、食品の情報収集・評価の手法
1.特別用途食品及び保健機能食品並びに機能性表示食品制度について、説明できる。

2.健康食品による有害作用並びに食品及び健康食品と医薬品の相互作用について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。

3.健康食品の最新情報を含め健康食品に関する適正使用と情報提供について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。

4.健康食品、食品の情報収集・評価の手法について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。
2
禁煙支援
1.喫煙の健康影響(症状、疾患等)

2.薬剤師が行う禁煙支援の方法

3.禁煙の薬物治療
1.喫煙による健康影響(喫煙による症状、疾病への影響) や医薬品との相互作用を薬学的な観点から説明できる。

2 . 喫煙者に対し、禁煙へ向けた適切な対応(助言による禁煙誘導等)や禁煙支援(禁煙補助剤の適正使用等)を行うことができる。
2
認知症対策
1.認知症関連施策(認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)等)の概要及び薬剤師の役割

2.認知症の早期発見・早期対応に関する薬剤師の取組

3.認知症の薬物治療
1.認知症関連施策及び薬剤師の役割を説明できる。

2.認知症の疑いがある薬局利用者を発見した際に、適切な対応( かかりつけ医や医療機関への受診勧奨、適切な対応先の紹介)を判断し、実践できる。

3.認知症の薬物治療について理解し、実践できる。
1
感染対策
1.標準予防策の概要

2.季節ごとに流行する代表的な感染症の病態、感染経路、予防方法

3.流行している感染症情報の収集方法

4.代表的な予防接種の意義と方法

5.代表的な消毒薬の使用方法( 用途、使用濃度及び調製時の注意点)
1.標準予防策を実践できる。

2.流行している代表的な感染症の病態、感染経路、予防方法について、住民の目線でわかりやすく説明できる。

3.代表的な予防接種の意義と方法について、住民の目線でわかりやすく説明できる。

4.代表的な消毒薬の使用方法について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
2
衛生用品・介護用品等
1.衛生材料・介護用品の製品知識、取扱い方法

2.衛生材料・介護用品に関する情報収集の方法

3.介護保険サービスにおける介護用品の提供方法
1.衛生材料・介護用品の製品知識、取扱い方法について熟知し、地域住民が適切に使用できるように提供・指導できる。

2.ニーズの高い衛生材料・介護用品について、住民の目線でわかりやすく説明できる。

3.衛生材料・介護用品を必要とする薬局利用者に、適切な対応( 衛生材料・介護用品の供給・提供、適切な行政サービス等の紹介)を判断し、実践できる。
1
薬物乱用防止
1.依存性のある主な薬物、化学物質( 飲酒含む)の摂取による健康影響

2.覚醒剤、大麻、あへん、指定薬物等の乱用防止に関係する法律の規定

3.薬物等の依存・乱用防止、過量服薬対策や自殺防止における薬剤師の役割

4.地域における精神・福祉・保健センターの役割
1.依存性のある薬物等やその規制について説明することができる

2.薬物乱用、医薬品の不適正使用のおそれ等の相談を受けた際に、適切な対応(地域の支援策や支援の仕組みの説明、適切な行政の支援事業等の対応先の紹介) を判断し、実践できる。
1
公衆衛生
1.日用品などに含まれる化学物質とその危険性の摂取による健康影響

2.誤飲や誤食による中毒の対応

3.学校薬剤師の位置づけと業務

4.食中毒の原因となる細菌・ウイルス、自然毒、原因物質、症状、対応方法
1.日用品などに含まれる化学物質による健康影響を薬学的な観点から説明できる。

2.日用品に含まれる化学物質の危険性から回避するための方法を住民の目線でわかりやすく説明できる。

3.誤飲や誤食による中毒に対して住民の目線でわかりやすく助言できる。

4.学校薬剤師の役割と活動を説明できる。

5.食中毒の原因となる細菌・ウイルス、自然毒、原因物質、症状、対応方法について、住民の目線でわかりやすく説明できる。
1
地域包括ケアシステムにおける先進的な取組事例
1.地域包括ケアシステムの概要(理念、各種施策・制度、背景等)

2.地域包括ケアシステムにおける先進的な取組の現状
1.地域包括ケアシステム及び地域包括支援センターの役割を地域住民の目線でわかりやすく説明できる。

2.地域包括ケアシステムにおける当該先進的な取組について、地域住民の目線でわかりやすく説明できる。
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コミュニケーション力の向上
1.来局者への応対、相談対応等の接遇
1.薬や健康に関する気軽で安心できる相談相手として、相談者の気持ちを配慮した対応を行い薬局利用者や地域住民、他職種の人々と良好な信頼関係を築くため、専門職として適切なコミュニケーションがとれる。
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