世界には、いろいろと長寿で有名な地域がありますが、ギリシャのイカリア島も長寿の島として知られていて、その島では1日に3~4杯珈琲を飲むのは当たり前とも言われています。
そこで、この珈琲と長寿に何か関係があるのではないかということで、珈琲と心血管リスクについて研究した論文が発表されています。
原文:
http://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1358863X13480258
長寿の島と言われるイカリア島の65歳以上の142名に対し、FMDという超音波測定によって血管内皮の機能、いわゆる血管のやわらかさを調べた研究で、さらに珈琲の消費量も合わせてアンケート調査をしています。
珈琲の消費量に関しては、1日に200mL未満、200mL~450mL、450mL超の3グループに分けて調査されました。
その結果、FMDは、珈琲の消費量に応じて、直線的に増加しているという結果が得られ、FMDの値は次のようになっています。
1日に200mL未満:4.33±2.51%
1日に200mL~450mL:5.39±3.09%
1日に450mL超:6.47±2.72%
この結果を見ても、よほど医学に精通した人でなければ、FMDって何? この数値ってどんな意味があるの? とこの結果の示す意味があまりわからないと思いますので、まず簡単にFMDとはということについて簡単に説明します。
FMD(Flow Mediated Dilation)とは
FMDは、Flow Mediated Dilationの略で、日本語では、
『血流依存性血管拡張反応』と訳されます。
どういうものかというと、FMD検査は動脈硬化が引き起こすいろいろな病気を早期発見・早期治療するために有用な血管のやわらかさを検査するものと言えます。
ちょっと専門的に言うと、カフで腕を締めた時に、血流増大によるずり応力により血管拡張物質である一酸化窒素(NO)が血管内皮からどれだけ放出されたかを調べる検査になっています。このとき、血管内皮機能が低下している、つまり動脈硬化を起こして血管が硬くなった状態になっていると、機能が上手く働かないためにる一酸化窒素(NO)の産生が少なくなり、FMD値は低下してしまいます。
%FMD={(最大拡張幅(mm)/安静時血管径(mm)}×100
という計算式がありますが、値としての目安はどのようになっているのかというと
正常値の目安は6%以上
5%未満で内皮機能障害が疑われる
3%未満では高リスク
となっています。
つまり、
珈琲を多く飲む人のほうが、血管がやわらかく、従って、動脈硬化から起こるさまざまな病気のリスクが小さいと言えます。
この研究では、普通のコーヒーでも効果があるとされていますが、特にギリシャコーヒーをよく飲む人では、普通のコーヒーの場合よりも、よりFDMで良い結果が得られたとしています。