健康情報を正しく把握するために重要なヘルスリテラシー

健康情報を正しく把握するために重要なヘルスリテラシー

健康・医療情報ポータルサイトなどの健康情報・医療情報が本当に正しいのか、その見極め方などについて、解説していきます。

リテラシーって何?

健康・医療情報ポータルサイトで、多くの情報があふれている中、情報を受け取る側が必要な能力として、ヘルスリテラシー(Health Literacy)があります。

 

まずは、リテラシーから説明していきます。

 

リテラシー(Literacy)とは何かというと、大学受験などで英単語を覚えた方もいるかと思いますが、『読み書き能力』ということになります。

 

一方、最近の情報社会では、メディアリテラシーとかネットリテラシーといった言葉も出てきています。

メディアリテラシー(media literacy)

メディアリテラシー(media literacy)とは、インターネットやテレビ、新聞などのメディアを使いこなし、メディアの伝える情報を理解する能力。また、メディアからの情報を見きわめる能力のこと。 (コトバンクより抜粋)

 

ネットリテラシー(net literacy)

ネットリテラシー(net literacy)とは、インターネットを正しく使いこなすための知識や能力。インターネットリテラシーともいう。
ネット上の情報の正確性を読み取り、情報の取捨選択や適切な対応ができること、電子商取引に正しく対処できること、利用料金や時間に配慮できること、プライバシー保護やセキュリティ対策を講じられること、などをさす。(コトバンクより抜粋)

 

ヘルスリテラシー

Wikipediaは、鵜呑みにできない?

メディアリテラシーの意味について、コトバリンクから抜粋していますが、例えばコトバンクは、朝日新聞、朝日新聞出版、講談社、小学館などの辞書から検索できるものであるからで、その面では情報ソースがしっかりとしていると言えるでしょう。

 

これに対し、Wikipedia(ウィキペディア)はネット百科事典としては優れていて、ちょっとわからないことを調べるというときにはすごく便利です。
調べるものによっては、Wikipediaほど詳細に記載されているものが見当たらないというものすらあります。

 

しかし、誰でも編集できるフリーなオンライン多言語百科事典であるため、チェックはされているとはいえ、その信憑性には、鵜呑みにできない部分もあります。

Wikipediaは、基本誰でも書き込みできます。
専門家はもちろんですが、その道にあまり詳しくないド素人でも書き込みができてしまうのです。
確かに、Wikipediaは、その道の専門家や詳しい人が記載し、さらにチェックの目が入り、間違っていると思われる部分は修正されたりもしています。
しかし、基本的に専門家による査読がなく、不特定多数の利用者が投稿することから、情報の信頼性・信憑性や公正性などは一切保証されてはいません。
悪意があってウソの情報を書き込む人がいないとも限りませんし、悪気はなくても知識不足で古い情報を書き込んでしまうなんていうこともあるでしょう。
つまり、どうしても正式な学術論文などと比べると、やはり信頼性・情報の確度という面からいくと落ちるのは否めません。

>一方、Wikipedia(ウィキペディア)は、過去には、世界で最も評価の高い百科事典の間違いを正しく指摘していたということもあります。
編集した人の技量というのも影響しているのでしょう。

 

もっとも、学術論文だって、査定があるものからないものまで、エビデンスという面では大きな差があります。
査定があったとしても、STAP細胞の論文の例にあるように、全くのウソが、世界的権威がある論文に掲載されてしまうということすら起こり得るのです。
結局、論文を書いた人、Wikipediaを編集した人の技量といってしまえば、そうなのかもしれません。

 

それを言っちゃ~ おしまいよ!


Wikipediaでは、記述の信憑性を高めるべく、書き込みには情報ソースを記載するという制度が採用されています。また荒らし駆逐ボットで投稿や編集記述を監視して、荒らし行為と認定したものは自動的に修復するなどの対策もしています。

 

学術論文であっても、ピンキリですので、 Wikipediaの記事も玉石混淆といっていいでしょう。
Wikipediaの記事が、きちんと情報ソースが明らかにされていて、その情報ソースが信頼できるものであるかというところは、信頼性をみるための大きな材料となるでしょう。

 

以前は、きちんとした学術論文などの参考文献には、Wikipedia(ウィキペディア)はあまり使われていませんが、最近では査読付き学術論文でもWikipediaを引用しているものが多々見られます。

Wikipediaは、いい加減な健康・医療情報ポータルサイトよりは優れている?

内容にもよりますが、Wikipediaは、その内容を記載するにあたって参考にした文献を書くように求められています。

 

実際には、そうしていないものも多くみられますが、きちんと参考文献があり、充実していていて、実際にその参考文献と同じ内容であったのならば、いい加減なまとめサイトの記事よりも、かなり信頼性は高いと言えるでしょう。

 

健康情報だって医師によって意見が分かれたり、新しい知見がみつかれば、今までとは180度違う考え方になったりもします。
つまり、医師が出している情報、あるいは厚生労働省が出している情報だとしても、100%正しいかどうかわからないのです。

 

そういう面できちんとチェックされているWikipedia(ウィキペディア)のページについては、信頼性が高いと言えますが、残念ながらすべてのWikipedia(ウィキペディア)のページが信頼性が高いとは言えないでしょう。

 

参考文献などもみて、きちんと精査していく目、まさにリテラシーが求められるのでしょう。

ヘルスリテラシーって何?

ヘルス・リテラシー(health literacy)とは、健康面での適切な意思決定に必要な、基本的健康情報やサービスを調べ、得、理解し、効果的に利用する個人的能力の程度を意味する。
医療リテラシーとも称される。
(Wikipediaより抜粋)

 

ヘルス・リテラシーについては、コトバンクでは見つけられなかったので、Wikipediaより抜粋しています。

 

また、きちんとした論文にも定義されています。

 

Sorensen K, et al. Consortium Health Literacy Project European. Health literacy and public health: a systematic review and integration of definitions and models. BMC Public Health. Jan 25;12:80, 2012.
健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力であり、それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて判断したり意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができる力

 

ヘルスリテラシーは、既に欧米では唱えられていて、日本でも日本医師会の書類や、厚生労働省の文書の中にもしばしば登場するようになってきています。

 

つまり、健康・医療情報を適切に収集し、理解・評価し、活用して、健康を維持し、生活の質を維持・向上していく力が、ネット社会においてより重要視されてきています。

健康情報の信頼性の問題、健康・医療情報の難しさ

健康に関する情報では、DeNAが『WELQ(ウェルク)』で健康関連情報に関して、ド素人に記事を書かせ、ほとんどチェックないままネット上に掲載されていたという問題がありました。
健康に関する問題は、生命関連分野でもあり、よりきちんとした情報が求められます。

 

アフィリエイトのために、適当な健康雑誌の記事をパクって、切り貼りしたような記事が多くあります。
もともと参考にしている健康雑誌の記事からして、怪しいものなので、こうしたものはあまり信頼性があるとはいえないでしょう。

 

健康雑誌の情報、効くか効かないかわからないが試してみたい?

健康雑誌で、●●が〇〇に効いたというような記事が医師編集のもとで記載されていますが、確かにウソは書いていないでしょう。
少なくとも医師が編集したり執筆しているのであれば、事実を掲載しているのでしょう。ましてやデータなどが載っていれば、そのデータがきちんと検証できる方法で行われたものなのかは別として、信頼できそうと思うでしょう。

 

こういった場合は、そのケースにおいては聞いたのは事実だと思います。少なくとも100人いたら20人なのか10人なのかは知りませんが、ある程度の人は良かったということになります。
それでは、いったい何を信じたら良いのでしょうか。

 

あとは、効くか効かないかわからないけど、効く可能性があるなら、今行っている治療にプラスして試してみたいと思う場合もあると思います。
こうした場合は、とりあえず医師・薬剤師に相談し、飲んでいる薬との相互作用もなさそうだし、副作用というか何か体にとって良くない有害事象が現れたらやめるということで、専門家に相談した上で、リスクを踏まえて試してみるのが良いでしょう。

 

また、付け加えると、健康関連商品に関しては、医薬品の他に、機能性表示食品という制度ができ、実際に臨床データを取るか、きちんとした信頼性の高い論文を集めて届出をする制度もできました。
もし、本当にある程度効果があるものであれば、そして多くの人に役立ってほしいというものであれば、きちんと検証をして機能性食品として開発するという道もできています。

 

テレビに出ている医師ですら見解が違う

素人が書いたアフィリエイトを目的としたブログの記事などは、信頼性に書けるということはわかると思いますが、専門家である医師や薬剤師が、純粋に情報提供の目的で提供している情報はどうでしょうか?
健康・医療問題は、テレビに出演されている医師の間でも、意見が割れることがよくあります。

 

もちろん、学術論文でも、ある結果を肯定する論文もあれば、否定する論文もある場合も少なくなく、まさにそれこそが情報の信頼性につながります。
否定する論文がないとか、あってもエビデンスに乏しいもので数も少ないとなれば、その情報は信頼性があるということになりますし、否定する論文も結構あるとなれば、その信頼性については弱くなってしまいます。

 

もし、鉄板で正しい情報(少なくとも現在の医療レベルにおいては)であれば、10人の医師がいたら、10人とも正しいと言うでしょう。
医師でも意見が割れるということは、ほとんどの場合、その情報は専門家の間でも幅広くは認知されていないということになります。

 

医学の進歩がなおさら判断を難しくする

健康・医療情報が正しいかどうかを判断する上で、それを難しくしている一つの要因は、常に医学が進歩しているということです。
ある知見がわかり、今までとは180度変わった見解が認知されたり、今まで常識と思われていたものがウソだったなんていうこともあるからです。
常に、情報が変化している点です。

 

どんなにエビデンスがしっかりした情報でも、専門家の間で認知され常識となっていた情報でも、ある見解が示されたとたんに、その情報の成否が問われる事態にもなるのです。

 

「医学・医療情報は常に変化・進歩し続けている」 = 「永遠のものではなく、不確実性をもった情報である」

 

だからこそ、しっかりと、健康レテラシーを高めて、信頼できる情報を見る目を養っておくことが大切と言われています。

健康リテラシーを高めるチェックポイント

信頼できる健康・医療情報をキャッチできる能力を鍛えるポイントをご紹介します。
つまり、記載してある健康・医療情報が信頼おけるものなのかを判断するポイントです。

 

情報の発信元をチェック

情報の発信元というのは、その情報を発信している人または研究を行っている人です。
医療機関や大学、研究所や大企業の研究であれば、比較的確度が高いと言えるでしょう。
公的機関の研究、または公益研究は、信頼性が高いと言えます。
また、それ専門に研究している場合や、その道の権威ある教授などの研究であれば、信頼性が高いでしょう。

 

いつの情報かをチェック

いつの情報かをチェックすることも大切です。
例えば、その情報が50年も前の情報であれば、とっくに古い情報になり、今では別の見解になっている可能性があります。

 

参考文献や参考資料

もし、参考文献や参考資料が掲載されているのであれば、そこもチェックし、それらが信頼性のある論文などを参考にしているかどうかもチェックすると良いでしょう。
多くの専門家にどう評価されているかというのもわかればチェックすると良いでしょう。

 

研究対象の人数

健康雑誌などでは、どんな人が対象で、しかも何人ぐらいの人で行われた実験なのかというのも、一つの目安になるでしょう。
5人でのデータよりも10人、10人のデータよりも100人のデータのほうが一般的には信頼性が高くなるといえるでしょう。