性器ヘルペス

性器ヘルペス

性病検査キットを使うにあたり、性器ヘルペスについて説明しています。

性器ヘルペスの症状

●感染者 :

 

クラミジア感染症、淋菌感染症と並んで感染者が多い性感染症になっています。

 

50~60代以降の感染も多く見られ、免疫力が落ちたりすると再発します。
一度感染すると、神経に住みつき消えずに再発するパターンが多くあります。

 

●病原 : ウイルス(HSV-1:単純ヘルペスウイルス-1、HSV-2:単純ヘルペスウイルス-2)

 

HSV-1は、口腔、口唇、顔面、眼などの上半身に主に感染します。
HSV-2は、性器の皮層粘膜など下半身に主に感染します。

 

オーラルセックスにより、HSV-2が口の周りに感染した例が増えてきています。

 

●感染ルート : 性行為感染(オーラルセックスも含む)、母子感染

 

母子感染は、妊娠中に検査で感染が分かって対策すれば、感染を防ぐことが可能です。

 

●潜伏期間 : 2~10日程度

 

●症状 :

 

男性は、水泡や潰瘍が亀頭、包皮、陰茎体部、お尻に出来ます。陰のうに出来ることはまれです。
ウイルスが尿道に入ると排尿困難を伴います。また排便障害を起こすこともあります。
再発は男性の方が多くなっていますが、症状が軽いので人に移してしまうリスクがあります。

 

女性は、外陰、膣の入り口とお尻に軽いかゆみが出て、その後に強い痛みと腫れを感じ、米粒くらいの赤い水泡が出来ます。
やがて水泡は破れて潰瘍になります。
下着が触れただけでも飛び上がるほど痛く、排尿痛のため排尿困難になります。
歩けないほど痛かったり足の付け根のリンパ節が腫れて発熱することもあります。

 

初感染で症状が出ると、非常に激しい症状が出ます。
神経に潜んでおとなしくしていたウイルスが、免疫低下などで再び発症する再発型は症状は重くありません。

 

●こんな時は疑う候補疾患 :
  できものができた。
  痛みを伴う水疱ができ、つぶれた。
  リンパ節が腫れた。

性器ヘルペスと検査

●検査法 : 視診、患部分泌物検査、血液検査

 

水泡や潰瘍部分から分泌物を採取して、ウイルスの有無を調べます。
また血液によって抗体検査も行います。
○HSV抗原(1型、2型)
○HSV特異抗原(1型、2型) 蛍光抗体法で検出
○HSV抗体
抗体反応では、HSV-1及びHSV-2について、IgM及びIgG抗体が調べられます。測定法は、CF、NT、EIAなどがあります。

 

抗体測定法

HI(赤血球凝集抑制反応)

特異性が高く、ウイルス株特異抗体を検出することができる。
感染後早期から抗体価が速やかに上昇し、長期間持続するため、患者の免疫状態の把握や疫学的調査に利用される。

NT(中和反応)

ウイルスの感受性細胞への感染,増殖能を阻害する感染防御抗体(中和抗体)を検出する。 感染後1 週間ぐらいからほぼHI抗体価と並行して上昇し、長期間持続する。
感度および型特異性が高く、ウイルス株の同定に使用される。

CF(補体結合反応)

感染後の抗体価はHI法やNT法よりやや遅れて上昇し、比較的短期間に低下または消失する。
ウイルス群特異的に検出されるため、スクリーニング検査として有用であるが、一般 に感度が低く血清型の鑑別はできない。

FA(蛍光抗体法) 検出感度が高く、免疫グロブリン別(IgM、IgA、IgG)に測定できる。型特異性があり、ウイルス構成ペプチドに対する特異抗体の検出が可能である。
酵素免疫測定法(EIA、ELISA) ウイルス特異抗体を免疫グロブリン別(IgM、IgA、IgG)に測定できる。他法に比べて感度が高く微量の抗体を検出することができ、しかも定量値を得ることができる。

IgMは、早期に出現し、短期間で消失します。
IgGは、IgMより遅れて出現し長期間持続します。
IgAは、IgMよりやや遅れて出現し、IgMより長期間持続します。

 

 

 

抗原測定法

遺伝子増幅法(PCR)

高感度・特異性が高い測定法で、熱変性1本鎖DNAに目的のプライマー(特異的に増幅させたい領域の各DNA末端と相補的20~30塩基のDNA断片)を結合させ、DNAポリメラーゼによりDNA合成反応を行い、これを繰返す事により目的とするDNA配列を指数関数的に増幅させます。

FA(蛍光抗体法)

特異性・検出感度が高く、免疫グロブリン別(IgM、IgA、IgG)に測定できる。型特異性があり、ウイルス構成ペプチドに対する特異抗体の検出が可能です。

酵素免疫測定法(EIA、ELISA)

高感度で、ウイルス特異抗体を免疫グロブリン別(IgM、IgA、IgG)に測定できる。他法に比べて感度が高く微量の抗体を検出することができ、しかも定量値を得ることができる。

サザンブロットハイブリダイゼーション

DNAの量的、質的変化の異常を解析します。

 

制限酵素で消化した検体DNAをアガロース電気泳動で分画し、変性させた1本鎖DNAをメンブランに転写させた後、標識プローブとハイブリダイゼーションさせ、目的遺伝子を検出します。

液相(核酸)ハイブリダイゼーション

病原体のrRNAを標的とし、直接菌体を検出します。
液相中で検体を溶菌処理します。
遊離したrRNAと標識プローブをハイブリダイゼーションさせ、形成した2本鎖ハイブリッドを分離して、目的遺伝子を検出します。

in situ ハイブリダイゼーション

ウイルス感染細胞の確認・目的遺伝子の局在性を証明するもので、スライドグラス上で、細胞や染色体のDNA、rRNAと標識プローブをハイブリダイゼーションさせ、顕微鏡下で検出します。

性器ヘルペスの治療

●治療法 :
何も治療しなくても、急性型(初感染)は3週間から4週間、再発型は1週間程度で治ってしまいます。
急性型は痛みが強いので、抗ウイルス剤を飲んだり点滴したりすることもあります。
1週間程度でよくなります。

 

○抗ヘルペス薬
単純ヘルペスウイルスのDNAの複製を阻害することで、ウイルスの増殖を抑え、唇や性器にできる水ぶくれを改善します。

検査キット