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ノロウイルスについて

ノロウイルスとは

ノロウイルス等のカリシウイルス(Calicivirus)の特徴

ノロウイルス、サポウイルス等は、エンベロープと呼ばれる外側の脂質二重膜を持たない正20面体の1本鎖RNAウイルスであるカリシウイルスです。

エンベロープを持たない1本鎖RNAウイルスは、カリシウイルスの他に、ロタウイルス等のレオウイルス、A型肝炎等のピコルナウイルス、ウイルス性下痢症等を起こすアストロウイルスがあります。

カリシは、Calix(コップ)に由来し、ウイルス表面に32個のミサでブドウ酒を入れる杯のようなコップ型の陥凹が見られることに関係しています。 サポウイルスは、ダビデの星と呼ばれる大きなくぼみがあります。

カリシウイルスはヒトをはじめ哺乳動物だけでなく広く動物に存在していて、環境に強いウイルスです。

したがって宿主としている動物間の感染以外にも、自然界や食品を介しての感染ルートがみられます。

カリシウイルスは、突然変異やゲノムないでの組み換えが頻繁にみられ、免疫反応はウイルス遺伝子型特異性が強く、世界規模で新しい変異株の流行が短期間で起こりやすいウイルスでもあります。

ノロウイルスとは

ノロウイルスは、1968年に米国オハイオ州にあるノーウォークの小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者の糞便からウイルスが検出されて発見されたことから、「ノーウォークウイルス」とも呼ばれています。

ノロウイルスは、カリシウイルスで、急性胃腸炎の病原体として知られている1本鎖RNAウイルスです。 感染力が強く、普通の消毒法では死滅せず、あらゆる年齢層に感染し、集団食中毒や集団感染を引き起こすことがあります。

環境の変化に強いのが特徴で、塩素濃度3.65~6.25mg/Lでは、ロタウイルスやポリオウイルスはやられてしまいますが、ノロウイルスは抵抗性を持ちます。60℃30分、pH2.7の環境でも3時間暗転しています。

ノロウイルスには、5つの遺伝子型グループ(Genogroup)があります。 Genogroup Ⅰ ~ Ⅴまで(GⅠ~GⅤ)5つの遺伝子型のうち、ヒトに感染するのはGⅠ、GⅡ、GⅣの3つのGenogroupです。

GⅠには少なくとも9つの遺伝子型が存在します。

GⅡは22種類の遺伝子型の存在が確認されています。

GⅢはウシから発見されたノロウイルスがあります。

GⅤはマウスから発見されたノロウイルスがあります。 これらの動物から発見されたノロウイルスは、ヒトには感染しないことがわかっています。

ノロウイルスの感染ルート

人から人へと感染するルートと、食品から入ってくる食中毒感染があります。

接触感染として、嘔吐物や排泄物、ドアノブ、握手等からの接触により感染します。 飛沫感染としては、嘔吐物や排泄物が乾燥し、空中に漂って感染していきます。

食中毒としては、二枚貝を生で食べたり、汚染された水を飲むことによって感染していきます。感染した食品加工者・調理者が作った食べ物からも感染しますし、風呂やプールを共有することでも感染していきます。

感染した食品加工者・調理者が作った食べ物からも感染が近年増加している傾向にあります。

ノロウイルスの流行

ノロウイルスによる症状の好発年齢は、乳幼児から高齢者まで全てにわたり、好発時期は日本の場合は冬期が圧倒的に多くなっています。

11月から2月頃までが多くなっていますが、年によっては4~5月頃まで続くこともあります。 ノロウイルスはウイルス性胃腸炎集団発生の最も重要な病原因子になっています。

世界的にほぼ同じ遺伝子株のものが同時又は1~2年の間に流行し、ロタウイルス・アデノウイルス・アストロウイルス・サポウイルス等との重複感染も見られます。

ノロウイルスの症状

潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間で、主な症状は嘔気、嘔吐、下痢(激しい水様便)、差し込むような腹痛、発熱などです。

発熱は軽度で、通常はこれら症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。 感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。

子供や高齢者では重症化したりすることがあり、嘔吐物を誤って気道に詰まらせることもあるので注意が必要です。

ノロウイルスの検査

ノロウイルスの検査に関しては保険適用になっていません。 ヒトのノロウイルスやサポウイルスは培養に成功しておらず、ウイルス抗原と遺伝子を調べる方法があります。 遺伝子診断では遺伝子解析をすることにより遺伝子型が蹴ってできます。

検査方法としては、RT-PCR法、LAMP法、TRC法(transcription reverse transcription concerted reaction)等の方法があり、検査にかかる時間は、半日~1日です。

通常は、検体中のウイルスの量が少ないことがあるので、RT-PCR法が使われることが多くなっています。

抗原検査として酵素抗体法が用いられ、最近ではイムノクロマトキットが市販されていて迅速診断として利用できるようになっていますが、感度や精度の面で改良が続いている状況になっています。
DNAを大量に複製するにはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)が必要ですが、RT-PCR法はRNAから逆転写酵素でcDNAを作成し、それを出発点として通常のPCRを行う方法で、RNAの単離、解析に用いられます。

RNAから変換されたDNAは、RNAとDNAの2本鎖、もしくは安定性の悪いRNAだけ壊れて1本鎖DNAになっています。

DNAは主に2本鎖で機能をするのでDNA合成PCRによって2本鎖にして検出します。 食品や環境水からの微量な遺伝子測定については、リアルタイムRT-PCR法が用いられます。また、LAMP法、TRC法のきっとが遺伝子診断法として市販されています。

ノロウイルスの治療法

現在のところ、ノロウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。 通常は2~3日もすれば症状が治まるので、その間に脱水症にならないように水分の補給をすることに気をつけます。

必要に応じて市販のイオン飲料等で水分を補給する必要がある場合もありますが、水分を補給しても吐いてしまうような場合は、 早めに医療機関を受診すると良いでしょう。病院で点滴をしてもらうことも場合によっては必要になるかもしれません。

抗生物質は効果がありませんし、下痢止め薬は下痢の期間を長引かせ症状の回復を遅らすおそれがありますので使用しません。 吐気を抑える薬や整腸薬などを対症療法として使用する場合はあります。 武田薬品工業は、2種類のノロウイルス抗原から構成される筋肉内摂取の2価ワクチンを開発中です。

ウイルスの外殻のみ持ち、内部にはウイルスゲノムを持たない中空のウイルス様粒子であるVLPワクチンが注目を浴びていて、ウイルスゲノムを持たないことから宿主内で増殖できませんが、外殻に対する抗体産生を誘導します。

エボラウイルスの治療薬として脚光を浴びている新型インフルエンザ治療薬「アビガン錠(一般名ファビピラビル)」については、イギリスのケンブリッジ大学の研究チームが、ノロウィルスに対しても効果を発揮する可能性があるとの見解を発表していて、マウスを使った動物実験では、ノロウィルス感染を低減、または除染する効果が確認されています。

インフルエンザウイルスと同様にRNAウイルスであり、このRNAの増殖を抑制するという作用機序から期待されています。

ノロウイルスの消毒

ノロウイルスの消毒は次亜塩素酸ナトリウムが使用されます。

アルコールは、ノロウイルスのようにエンベロープを持っていないウイルスに対しては無効です。 エンベロープを持っているおのは、石鹸やアルコールに弱いので消毒が可能ですが、ノロウイルスやロタウイルスといったものは消毒できません。

ノロウイルスの場合は、消毒用エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ポビドンヨード等はあまり効かなかったり、データが無かったりで、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。 次亜塩素酸ナトリウムは、ケースによって適した濃度があります。

*嘔吐物や排せつ物が付着した床や衣服を消毒する場合 : 0.1%
*トイレの便座、ドアノブ、手すりなどを消毒する場合 : 0.02% 次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用塩素系漂白剤に入っていますが、濃度が記載されていなかったりします。

哺乳瓶等の消毒剤として薬局で販売されている医薬品(第2類医薬品)は、有効成分として濃度が明記されていますので、利用しやすいでしょう。

1%の次亜塩素酸の場合、0.1%だと10倍、0.02%だと50倍に希釈すると、良いでしょう。

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