患者の心理、矛盾する感情の想起 | 薬剤師トピックス

感情の想起というと何のことなのか、非常に難しい感じがしますが、どういうことなのでしょうか。

矛盾する感情の想起(Association Technique of Ambivalent Emotions)

人間は、悩みや問題、身体の症状をかかえている時、必ず矛盾する2つの感情、相反する2つの感情が存在しています。そして1つの強い感情が出てきたときに、もう1つの感情を明らかにする技法、それが、『矛盾する感情の想起』ということになります。

つまり、患者さんがある症状をかかえているとき、無自覚に相反する感情のうち、どちらか一方しかその気持ちを伝えてこない場合があります。そうした時に、隠れているもう一方の気持ちにスポットを当てて引き出していくというものです。

矛盾する感情の実例

ちょっとわかりにくいので、実例を示してみるとこんな感じになります。

患者さんが、病院を変えたいと言ってきました。

どうしてですかと理由を尋ねると、副作用が出るような薬を出す先生は怖いからという回答が返ってきました。

「それでは今までの治療が中途半端になってしまいますよ」
とか、「薬の副作用は誰も予想ができるものではないので、もう少し先生を信じて受診されてはどうでしょうか」などのように説得口調で話してしまうと、医療関係者としては正しいことを言っていても、副作用が怖くて迷っている患者目線にはなっていませんので、患者の心に深くささっていきません。

そういった場合は、「副作用が出るような薬を出す先生は怖いというお気持ちで迷っていらっしゃるのですね」と言うと良いでしょう。

なんだ、例の傾聴であり、患者がいったことをとにかくオウム返しすればいいのねと思われるかもしれませんが、このオウム返しは結構大切です。

少なくとも私が言っていることをきちんと聞いてくれているんだなという印象を与えます。

そして、最後の「迷っていらっしゃるのですね」という言葉を言うことで、もし少しでも「う~ん」と考えるような感じがみられたら、それは患者さんが自己決定した事項ではなく、まだ少し迷っていらっしゃるということになります。

それであれば、迷っているもう1つの気持ちというのは何なんだろうかとうことになるでしょう。そこで登場するのが『対決(confrontation)』という手法です。

対決(confrontation)

対決(confrontation)とは、矛盾する2つの感情を並べて見せて、「これと反対のこういった気持ちがあるんですね」と相手に話しかけることによって、自己決定を促す手法になります。
こうすることで、話しかけられた相手は、自分の中にある矛盾する気持ちの中からより強い気持ちを選択することになります。

前述の例でいうと、「それでは、副作用を出す先生は怖いという気持ちと、かかりつけの先生だからという気持ちで迷っているのですね。」というような感じになります。

あくまでも患者の自己決定を促すという形になるので、患者が出した結論に対しては、それを後押しするようにしても良いし、意見を言っても良いでしょう。

患者は自己決定をしたということで、言うことに対する受け入れ体勢ができていますが、自己決定前に、押しつけるようなことを言っても聞く耳もたずちおったことになる可能性も高いと言えるでしょう。

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