最近では、結構周知されてきている8020(ハチマルニイマル)運動ですが、どのような運動で、どのような意義があるのでしょうか。
8020(ハチマルニイマル)運動とは
8020(ハチマルニイマル)運動は、1992年に日本で予防歯科の考え方を国民に広く浸透させるために提唱・推奨されているもので、80歳になっても自分の歯を20本以上保ちましょうという運動のことを指します。
基本的には、人は32本の永久歯がありますが、この永久歯は一度失われると二度と生えてきません。
高齢になると体のさまざまな変化が起こってきて、こうしたことから歯を失うのも老化現象の一つのように捉えられている面がありますが、実は違うのです。
年齢を重ねるとともに歯や歯茎が弱ってきて自然と抜け落ちてしまうのではなく、虫歯や歯周病が原因となって歯や歯茎の状態が悪くなり、その結果、歯を失ってしまう人が多いのです。
特に歯周病は、その初期にははっきりとした症状が出ないままに進行することが多く、歯槽膿漏の前段階である歯肉炎の状態では、なかなか症状を自覚することができず、気づかないうちに何年もかけて歯周病が進行して、歯を失ってしまうことになるので、サイレント・ディジーズ(静かな病気)などと呼ばれたりすることもあります。
8020(ハチマルニイマル)運動って成果があるのか
意識を変えたぐらいでと思う人もいるかもしれませんが、北欧のスウェーデンでは80歳の平均残存歯数が25本もありますが、以前は歯周病や虫歯の人が多く、歯を失う高齢者が多かったようです。
スウェーデンが80歳の平均残存歯数が25本になったのには「予防歯科」が浸透したからだと言われています。
『予防歯科』とは、虫歯や歯周病になってから歯の治療をするのではなく、そうなる前のケアをしっかりしていくというもので、スウェーデンでは1970年代から政府が国民にこの考え方を広めていて効果をあげています。
そこで日本でも80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという8020(ハチマルニイマル)運動がスタートしたのですが、80歳で20本以上の歯を保っている人の割合は、平成17年の24.1%から平成23年には38.3%と大きく増加していて、効果が出ているのです。
つまり、一人一人が歯を失わないように正しいケアを行っていれば、残存歯を保つことは可能なのです。
それでも、80歳での日本人の平均的な残存歯数は、上下合わせて10本前後程度と言われています。
8020(ハチマルニイマル)運動の意義
なぜ8020(ハチマルニイマル)運動なのかというと、歯を失うことによって、生活の中で不便が起こってくるからです。
まずは、歯を失うことによって噛むことに影響がでてきます。
食物を噛み切り、砕き、すりつぶす重要な働きを果たしている歯は、消化の面でも重要です。
実際に歯の本数が20本以上の人は、19本以下の人に比べて、何でも噛んで食べることができる人が多いという厚生労働省の国民健康・栄養調査もあります。
歯を失うことで、フランスパンや堅焼きせんべいなどが食べにくくなってくるのです。
歯は話すことにも栄養を与え、前歯を失うだけでもタ行が、奥歯を失うとハ行やラ行が発音しづらくなると言われています。