変化する五月病、「令和型五月病」の特徴

変化する五月病、「令和型五月病」の特徴

昭和にはなかった五月病...SNSの他人の眩しい投稿を見ては劣等感を抱き、理想の自分を演じることに限界を感じたら、それは「令和型五月病」のサインかも。現実の自分を否定せず、デジタルデトックスで本来の健やかさを取り戻しましょう。

五月病は、学生無気力症からはじまった

五月病は今、SNSでの「充実アピール」による消耗が原因の令和型へ。キラキラ投稿と現実の自分を比較して疲れていませんか?


五月病は、学生無気力症からはじまった

『五月病』は日本でよく使われている俗称であり、DSM-5やICD-11などの国際的な診断分類には該当するものがありません。
もちろん日本語の正式な精神疾患分類にも載っている公式診断名ではなく、実際には適応障害などの枠組みで考えられています。

『五月病』は、入学、転勤、新年度など環境変化に伴い、憂鬱、やる気が出ないといった「一過性」の症状がちょうどゴールデンウィーク明けに出てくることが多いというものです。
なんだ、一過性かと軽くみるなかれ! 放っておくとうつ病に移行する可能性もあるため、注意が必要です。


全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページでは、以下の内容で詳しく説明がされています。


健康づくり:5月 ゴールデンウィークから初夏にかけて気をつけたい「五月病」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/health_promotion/column/r07/05/index.html


『五月病』は、もともとは1960年代、猛勉強して難関大学に入学した学生が、目標を見失って5月頃に無気力になる『スチューデント・アパシー(学生無気力症)』を指す言葉として広まりました。
一生懸命受験勉強をして大学に入ったのに、5月の連休明けごろから学校に来なくなってしまう学生たちがいることに気づいたのが最初なのです。
そこから、新年度の4月に新しい環境へ入った人が、5月の連休明け頃から、なんとなく気分が落ち込む、疲れやすい、仕事や家事に集中できないなどの心身の不調を訴える状態として、一般的に『五月病』という言い方が広まっていきました。


<参考>
巻頭インタビュー:西松 能子氏(立正大学心理学部教授・博士〔医学〕)
https://www.drp.ne.jp/pickup_article/%E3%80%8C%E4%BA%94%E6%9C%88%E7%97%85%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%89%E3%80%81%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E6%B0%97%E6%99%B4%E3%82%89%E3%81%97/


令和に激増? SNS型五月病

本来、『五月病』というと『スチューデント・アパシー(学生無気力症)』から広まった言葉であることは説明しました。
具体的には、1960年代の高度経済成長期、熾烈な受験競争や就職活動の末にたどりついた希望していた会社への就職というゴール、就職できたという安堵とともに、もうすでにその段階で燃え尽きて目標喪失してしまったことによる脱力、そしておそってくる「何をしたらいいかわからない・・・」という感覚、これが無気力につながってしまうというのが、いわば『昭和型五月病』といってもいいのかもしれません。


しかし、Z世代に代表されるように、もう生まれたときからインターネットがあった世代が就職期をむかえるようになってきた昨今、デジタルネイティブは当たり前の常識、それが前提となっていてSNSもバリバリと使いこなす世代、そういった世代が中心になってきている時代だからこその新たないわゆる『令和型五月病』が激増しています。


『昭和型五月病』がいわゆる燃え尽き症候群のような感じなのに対し、『令和型五月病』過剰適応と自己演出による過労によるものです。
ネット社会、SNS普及社会で何が起こっているのかというと、ズバリ「他者との比較と過剰な自己演出による消耗」です。


特に新生活が始まる4月は、SNSには素敵でおしゃれな画像とともに「新しい仲間とランチ! イェーイ!」 「最高のスタート! やったね^^V」といった眩しい投稿が溢れかえります。
周りの友達からのこうしたキラキラ投稿を見るにつけ、自分も『充実アピール』しなくちゃと強迫観念にかられ、無理にキラキラした投稿を続け、自らエネルギーをすり減らしてしまいます。
そして頑張って投稿すること1ヵ月、そろそろ「SNSで作り上げた自分の虚像」と「現実の自分」の乖離、それに加えてタイムラインに溢れる「完璧に見える友達」の投稿。。。
「SNSで作り上げた自分の虚像」とは裏腹に、実際には慣れない環境でミスをして落ち込む日々の「リアルな自分」。。。


嫌でも無意識のうちに比較してしまい、「自分だけがダメなんだ」と猛烈な劣等感がおそい自己嫌悪に陥ってしまう。


『昭和型五月病』「自分の中の目標の喪失」からくるアパシー(無気力)とするなれば、『令和型五月病』は、「SNSの過剰なキラキラ感に振り回されたあげくのエネルギー切れ」によるアパシー(無気力)と言えるのでしょう。


五月病は日本だけ?

日本では『五月病』とよく言われますが、海外でも『五月病』があるのでしょうか?
答えは「No」です。
しかし、それに代わるものがあります。


欧米のケース

欧米の場合、日本の『五月病』に相当するような症状の訴えは、1月と9月に多くなっています。


イギリスでは、『ブルー・マンデー(Blue Monday)』といって、「1月の第3月曜日」が、1年のうちで最も憂鬱な日とよく言われています。
なぜなのかというと、暮れから正月にかけての長いクリスマス休暇が終わり、天候が悪い時期でもあり、さらに家計の厳しさや新年の抱負への挫折感などがちょうど重なって出てくる時期だからです。


また欧米では学校の年度の始まりが9月であることが多いため、日本のような「5月のスランプ」はあまり一般的ではないのです。
欧米では、9月の新学期が始まり、数週間から1ヵ月ほど経った頃に感じる憂鬱感から『セプテンバー・ブルーズ(September Blues)』と言われていて、夏休みの開放感から一転して、学業や仕事のプレッシャーに直面することで起こってくるようです。


その他、たっぷりと休暇をとるバカンスを重視する欧米人は、休暇明けに現実に戻ることで辛くなるという症状を訴える人も多く、『ポスト・ホリデー・シンドローム』と呼ばれたりしています。


中国のケース

日本のお隣、東アジアではどうなのでしょうか。
中国も欧米と一緒で9月入学のところが多いため、9月に症状が多くみられる一方、5月に特化した不調ということはあまり聞きません。
ただ、中国の長期休暇にあたる春節(旧正月)により、いわゆる欧米でいう『ポスト・ホリデー・シンドローム』に相当するようなことがあり、『節後総合征(連休明け症候群)』という言葉があり、長期休暇明けの心身の不調がよく話題にのぼったりする時期になります。


韓国のケース

日本に比較的近い時期に症状を訴える人が増えるのがお隣の韓国です。
韓国は学校が3月、就職も随時行われる傾向にあり、「燃え尽き(バーンアウト)」は深刻になっています。
3月のスタートから1ヵ月ほど経った4月~5月頃に不調を訴える人はいますが、『五月病』という言い方ではなく『新学期症候群』とか『バーンアウト』と呼ばれています。