うがいは風邪予防に効果があるのか | 健康トピックス

風邪の予防には、うがいはあまり効果がないという意見もあります。

そんなことするよりも、水やお茶を15分おきに飲んでいると風邪予防ができるということが言われだしています。

いったい、何が正しいんだろうと迷ってしまいます。
まずはオーソリティーということで厚生労働省はうがいについてどのような考え方なのでしょうか。

厚生労働省のうがいに対する見解

厚生労働省は、平成28年の段階では、「うがい」を3大風邪予防の1つに位置付けて啓発活動をしています。
手洗い、うがい、マスク着用が3大風邪予防で、効果的なうがいの方法を示しています。

最初は、食べかすなどをとるために口に含んで、クチュクチュと口の中を2~3回洗い流します。
次に、上を向いて、のどの奥までうがい液が届くように15秒間ぐらい、ガラガラとうがいし、これを数回繰り返します。

ところが、平成29年からは、例えばインフルエンザQ&Aの「インフルエンザの予防・治療について」というところに、「うがい」の文字は出てきていません。

うがいの予防効果を否定まではしていませんが、以前ほどは推奨していないのです。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/200909/6.html

論理的に考えれば、風邪やインフルエンザのウイルスなどは喉の粘膜から侵入してくることが多いので、喉の粘膜上から異物を排泄するのを助ける繊毛の働きをサポートするうがいは、風邪やインフルエンザの予防に良いはずなのですが、はっきりと「効果あり」と断定できるほどのエビデンスが得られていないということだと考えられます。

なぜならば、個人個人によってうがいをする頻度、どのようなうがいのやり方をしているのか、またその個人個人が置かれた環境も違うので、うがいの効果がどのぐらいあるのかを検証するのが難しいのかもしれません。

うがい薬の是非

うがいをする時に、うがい薬を使う人もいると思います。
殺菌成分がはいったうがい薬だと、普通にうがいをするよりも効果がありそうですが、どうなのでしょう。

うがい薬の効用に対する大規模な調査が2005年に、京都大学の川村孝教授らによって行われ、ヨードを使ったうがい薬については、統計的な予防効果は認められなかったという結果がでています。

(参考:Satomura K. Am J Prev Med. 2005;29:302-7)

387人の健康人を「水でうがいする群」「ヨード系の薬でうがいする群」「普段通りにする群」の3つのグループに無作為に分け、冬期の60日にわたって風邪の感染率を調べた結果、水うがいのグループは、うがいをしない普段通りのグループと比べ、風邪発症率が40%減少していました。

これに対し、ヨード系の薬でうがいしたグループは、統計的な予防効果が認められなかったのです。

これはヨードが常在菌も殺してしまい、あるていど病原菌の繁殖やウイルスの侵入を防いでくれていた常在菌のバリアを弱めてしまったことが考えられます。さらにヨードにより気道の粘膜が傷つけられる可能性も指摘されています。

逆に水道水だけでうがい効果が出たのは、水道水に残留している塩素が予防効果を発揮したのではないかとも考えられています。
ヨード系以外の、アズレン系のうがい薬などについては実験されていないので、この研究結果からは何ともいえません。

いずれにしろ、この京都大学の川村孝教授らの研究では、うがいをすることは効果があったということです。

こまめに水やお茶を飲むことは風邪・インフルエンザ予防につながるのか

最近よく言われるのが、インフルエンザウイルスは喉の粘膜についてしまったら、数分~最長でも20分以内に洗い流さないと、体内に侵入してしまうことから、少なくともうがいを15分おきにできればいいのですが、外出中や仕事中などに15分おきにうがいなんてしていられないということです。

そして「洗い流す」という考えから発想をかえて、ウイルスを喉や鼻の粘膜に「付けない」よう心がけるべきと考えると、こまめに水やお茶を飲むことが風邪やインフルエンザ予防につながるのではないかという考え方です。

テレビでも複数の医者が、「15分おきに水やお茶を飲んで、喉の粘膜について菌やウイルスを洗い流してしまえば、胃酸によって死んでしまうので、風邪やインフルエンザ予防になる」として、風邪やインフルエンザ予防法として紹介しています。

感染症の専門家である国立国際医療研究センターの大曲貴夫総合感染症科長によると、この情報は理論としては正しいのですが、実際にそれで臨床試験が行われたわけではないので判断が難しいということです。

風邪やインフルエンザウイルスの侵入は、喉の粘膜からだけでなく、鼻からも目からも入ってきます。
また、粘膜にくっついてから15分という時間の根拠についてはわからないとしています。

水をあまり飲みすぎると電解質のバランスを崩して、低ナトリウム血症などになるリスクもあると言います。
そもそも、水やお茶をこまめに15分おきに飲める人は、もともとそれだけ健康に気を使っている人なので、風邪やインフルエンザにもかかりにくいという要素もあるのかもしれません。

いずれにしろ、はっきりしたことはまだわかっていませんが、水道水でのうがいにしろ、水やお茶をこまめに飲むことにしろ、やって悪いということはないかと思いますので、あとは自分が置かれた環境なども考慮しての自己判断になるのかもしれません。

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