結論を先に言ってしまうと、お酢には痩せ薬としての効果はありますが、飲んでもその効果は一時的で、実用的ではありません。
その理由をこれから説明していきたいと思います。
お酢で痩せる
お酢は、化学的成分でいうと酢酸になり、酢酸は、酪酸やプロピオン酸と同じく短鎖脂肪酸になります。
体の中の脂肪細胞には、酢酸をはじめとする短鎖脂肪酸を感知する受容体があり、お酢つまり酢酸が入ってきたことを感知すると、脂肪細胞は栄養分の取り込みをストップし、脂肪が過剰にたまるのを抑制する報告で働きます。
さらに交感神経にもこの短鎖脂肪酸に反応する受容体があり、酢酸を感知することで全身の代謝が活性化し、心拍数の増加や体温の上昇などが起こり、余った栄養分をエネルギーとして燃やして消費させます。
つまり、お酢を飲むことによって、脂肪の蓄積が抑えられ、逆に脂肪の消費を増やすことから、お酢は肥満を防ぐ働きがあると言えます。
お酢が痩せ薬に
となると、それじゃお酢が痩せ薬になるかというと、実用的ではないのです。
お酢つまり酢酸は、飲むと血液中に入りますが、すぐに分解されるのでその効果は一時的なのです。
それなら、お酢をちびちびと飲み続ければいいじゃないかと思うかもしれませんが、そもそもそんなに多量に飲むものではありませんし、飲む量が多すぎれば体調を壊すことにもつながりかねません。
そして何より、酢酸は酸性なので、一時的に歯の表面を柔らかくしますので、料理に使われている程度であったり、健康のために1日1杯飲むといった程度ならば、問題がなく、すぐに唾液のpH緩衝作用によって中和されますが、1日中ずっとちびちびお酢を飲み続けていると、酸で歯がボロボロになってしまいます。
お酢の代わりのすごいヤツ
なんだ、お酢は実用的ではないのかということになりますが、腸内細菌によって体の中で酢酸を作ってもらえばいいのです。
腸内細菌の中には、酢酸を作る細菌たちがいて、その代表的なものがバクテロイデスになります。
痩せたいという場合は、こうしたバクテロイデスなどの酢酸を作ってくれる腸内細菌に元気になってもらい、活発に働いてもらうことが大切になってきます。
そこで必要なのが、これらの腸内細菌になるエサですが、バクテロイデスなどの酢酸を作る細菌は、食物繊維が好物です。
したがって、食物繊維をしっかりとることで、肥満を防ぐことができるのです。
野菜嫌いの偏食をしていると、偏った食生活の中で食物繊維が不足しがちになり、それをエサにしているバクテロイデスなどの腸内細菌が減ってしまい、これが肥満になりやすい原因となってしまっているのです。