イタリア料理でよく出てくるバジルは、アネトールやリノナール、シネオール、カンフェン、ゲラニオール、メチルシャビコールといった精油成分を豊富に含んでいて、高貴な香りがするハーブとして、南欧料理には欠かせないものになっています。
このように、古くからヨーロッパで用いられているバジルは、人々の生活の中で身近なものとして存在し、それにかかわる逸話もあります。
バジルはインドが原産
パスタやマリネ、サラダなどにイタリア料理でよく使われる香草(ハーブ)と言えば、バジルです。
バジルの乾燥した葉は、イタリア料理で大活躍するトマトと相性抜群で、さらに、セージ、タイム、マージョラム、オレガノといったハーブとブレンドすると、より風味が引き立ちます。
バジルの原産はインドで、もともとはヒンズー教のクリシュナ神にささげる植物として寺院の周囲に植えられていたそうです。
こらが4000年前のエジプトに伝わり、そこからイタリアと中心としたヨーロッパ南部に広まり、ハーブとして食されるようになっていきました。
いろいろなバジル
バジルにもいくつかの種類があります。
高貴でさわやかな香りがするバジルは、ヨーロッパでは「ハーブの王」と言われ、イタリア料理では必需品になっています。
バジルが登場する料理といえば、パスタやマリネ、ピザなどが思いつきますが、イタリア語でバジリコと言われるバジルは、ソーセージやドレッシングにも用いられます。
多少多く使っても、香りが鼻につくことがないし、花もスパイシーな味と香りで、サラダなどに利用できます。
イタリア料理などにハーブとして用いられているのはスイートバジルと呼ばれるものです。
その他にも観賞用として用いられるものに、ダークオパールバジルがあり、花はエディブルフラワーとしても利用されていますが、ビネガーに浸けると美しい色になります。
茎の数が多いのが特徴で、光沢がある細かい葉をたくさんつけるブッシュバジルは、観賞用として好んで鉢植えにされたりします。
レモンバジルは、レモンに似た香りがしますが、観賞用としても栽培されています。
バジルは王様のハーブ
バジルは、イタリア料理の主役、トマトとの相性が抜群であることから、ハーブの王と言われていますが、バジルにはいろいろな逸話もあります。
バジルは、フランスで「王様のハーブ」と呼ばれていますが、これはギリシャ語の「basileus(王)」に由来していると言われています。
古代ギリシャでは、バジルの種を蒔く時に、大声で呪いの言葉を唱えたと言われていて、フランス語で「バジルを蒔く」というと、「中傷する」という意味になるそうです。
イタリアでは、バジルは求婚のシンボルとして、葉を髪に挿してプロポーズする習慣もあるそうです。