三大栄養素である炭水化物、脂質、蛋白質のうち、炭水化物で、私達の消化酵素によって消化されるものは『糖質』、消化できないものは『食物繊維』になります。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維
食物繊維は、水に溶けるか溶けないかで、『水溶性食物繊維』と『不溶性食物繊維』に分けることができます。
『水溶性食物繊維』と『不溶性食物繊維』も、消化吸収されずに大腸まで到達するというところは同じですが、生理作用としては大きく異なります。
『不溶性食物繊維』は、大腸の粘膜を刺激して水分や粘液の分泌を促すことにより、便のかさを増し、やわらかくすることから、便秘解消に役立ちます。
ただ、過敏性腸症候群(IBS)の人ではかえって症状が悪化するおそれがあるため注意が必要です。
一方、『水溶性食物繊維』は、水に溶けてゲル化して、糖の消化吸収速度を遅くする働きがあるため、血糖の急激な上昇を抑えたり、コレステロールやナトリウムの吸収を阻害する作用があります。
また、ゲル化することで便の水分量を高め、便のかさを増す働きもあります。
不溶性食物繊維を多く摂取するには
不溶性食物繊維は、糸状でザラザラしていますが、どんなものに多く含まれているのかというと、穀類、野菜、コンニャク、きのこ、豆類、ナッツなどを種実類に多く含まれています。
主な不溶性食物繊維
『キチン』は、自然界においては、セルロースに次いで多く存在する多糖類で、カニやエビといった甲殻類や節足動物、きのこ等に多く含まれています。
『キチン』は、免疫力強化、脂質異常の改善などに効果があるとされていて、甲殻類の殻などから精製されていますが、ヒトでの効果はまだ十分には検証されていません。
『キトサン』もお、カニやエビの甲殻類に多く含まれていて、甲殻類の外骨格から得られたキチンからアセチル気を外す脱アセチル化をして精製します。
『キトサン』を精製する過程において、完全に脱アセチル化することは難しく、精製してもキチンが2~3割残ってしまうため、一般には「キチン・キトサン」などとして健康食品になっていたりします。
『キトサン』は非常に用途が広く、食物に増粘性を持たせるための増粘多糖として、また化粧品に利用されたり、繊維中に練り込まれたり、治療用の創傷保護材などにも使われるほか、人工皮膚などにも利用されています。
『リグニン』は、木材の導管や仮導管などの木化に深く関与していて、木材を意味するラテン語である lignum が由来になっています。
『リグニン』は、木材中では20~30%を占めています。
『リグニン』は、腸管内の残留物の排出を促す働きがあり、食品では、亜麻の主旨、根菜類、小麦ふすまなどに多く含まれています。