傷に対してよくドレッシング材が使われますが、どのような種類があって、なぜ使われるのでしょうか。
なぜドレッシング材を使うのか
傷に対して、なぜ『ドレッシング材』を使うのかというと、創傷面の保護や疼痛・圧力の緩和といった目的の他に、創傷の自然治癒過程に最も適した湿潤環境(湿度・温度・酸素濃度・pHなど)をつくるためです。
ドレッシング材を使うことで、滲出液を吸収し、創傷治療を促し、感染を抑制させる効果があります。
浅い褥瘡(真皮までの損傷)の創周囲では線維芽細胞が豊富に存在していて、湿潤環境を整えることによって治癒が促進しやすいためで、『褥瘡予防・管理ガイドライン』でもドレッシング材が有用だとされています。
ドレッシング材は、感染のない褥瘡に使用することが原則です。
ドレッシング材の種類
主なドレッシング材の特徴をまとめました。
滲出液を吸収すもの
『ハイドロファイバー』は、滲出液の吸収力・保持力に優れていて、ゲル化するので創傷面に固着せずに除去しやすいのが特徴で、滲出液が多く傷周囲が浸軟しているような傷に適しています。
一方、滲出液が少ないと感想する可能性があり、ポリウレタンフィルムによる固定が必要になります。
『アルギン酸塩』は、壊死した組織を除去するデブリドマン後の出血の可能性がある傷に適していて、カルシウムイオンによる強力な止血効果があり、吸収性に優れているのがとk兆です。
『ポリウレタンフォーム』は、肉が組織増殖気になった傷や、真皮から筋層に達する傷に用いられ、高い吸収性による浸軟が予防でき、固着しづらく傷や周囲の皮膚を損傷しにくく、クッション性もあるので創部の保護効果もあります。
創面を閉鎖し浸潤環境をつくるもの
『ハイドロコロイド』は、真皮から皮下組織までの傷で、浸出液が少ないものに用い、浸出液を吸収してゲル化することで、湿潤環境を維持し、創面を低酸素状態に保つことにより血管新生を促進させるとともに、汚染物や細菌の侵入を防ぎます。
滲出液が多い傷には不向きです。
乾燥した創に湿潤環境をつくるもの
『ハイドロジェル』は、乾燥した壊死組織がある傷に用い、ジェルに含まれる水分によって壊死組織を軟化させ、水分含有量が多いことから、冷却作用があり、炎症や疼痛をやわらげる効果があり、また自己融解を促進させます。
ドレッシング材の使用法
ドレッシング材は、交換を適切に行うことが大切で、滲出液が多い場合は、吸水性の高いドレッシング材を使用し、傷周囲の皮膚感染にも注意します。
また創洗浄にて清潔な環境を保持し、必要に応じて抗菌薬や外用薬の使用が検討されます。