前向きコホート研究での評価 | 健康トピックス

どのような要因を持っている人が、どのような疾患に罹患しやすいのかを研究することは、現在から未来に向けての研究となることから、『前向き研究』で、『前向きコホート研究』と呼ばれたりしますが、通常は単に『コホート研究』と呼ばれることも多くなっています。

前向きコホート研究

『前向きコホート研究』は、目的とする疾患に罹患していない人を対象として、調査したいリスク要因に曝露したグループと、曝露していないグループを設定し、未来に向かって、その両群の発病状況を調べていく研究になります。

『前向きコホート研究』で有名なのは、喫煙習慣のある集団と喫煙習慣がない集団での肺がん発症率を比較した研究などです。

喫煙習慣のある集団と喫煙習慣のない集団で、将来の肺がんの発症率を観察し、喫煙習慣のある集団で肺がんを発症した人、発症していない人、喫煙習慣のない集団で肺がんを発症した人、発症していない人を調査して、そのリスクを求めていきます。

相対的危険度と寄与危険率

『前向きコホート研究』の場合、『相対的危険度』『寄与危険率』が重要になってきます。

『相対危険度』とは、ある要因の曝露によって疾病発症率が何倍になったかを示すもので、疾病に対する要因の関連の深さを表す指標になります。

この相対危険度の値が1以上になれば、その要因によって疾患が起こりやすくなるということになり、1未満であれば逆にその疾患が起きにくいということになります。

『寄与危険度』とは、ある要因の曝露によって、発生率がどれだけ増えたか、何人増えたかということを示すもので、疾病に対する要因の関連の大きさを表す指標になります。

相対危険度は単位がないのに対して、寄与危険度には単位人口当たりの率で示され、要因を取り除くことによって何人の人が疾病に罹患しなくて済むかを示すことになります。

実例で計算する相対的危険度と寄与危険率

わかりやすく実例をあげてみます。

喫煙者と非喫煙者をそれぞれ10万人集め、10年間にわたり前向きコホート研究を行ったところ、とある疾患に罹患した人が、喫煙者では70人、非喫煙者では10人いたとします。

この場合、相対危険度は、70÷10=7.0ということになります。

そして寄与危険率は、70-10=60人(人口10万対)となります。

つまり、喫煙が要因となって罹患していて、もし喫煙しなければ10万人あたり60人は罹患しなかったのではないかということになります。

しかし、この前向きコホート研究にも、時間と労力と費用がかかるという欠点もあります。

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