ウナギは、ビタミンAが豊富で、その他EPAやDHAといったω3脂肪酸、ビタミンB1、ビタミンB2、鉄、カルシウムなどのビタミンやミネラルがたっぷり含まれており、疲れたとき、特に夏バテを防ぐためのスタミナ食として食されてきました。
古くから親しまれてきたウナギ
ウナギは謎が多い魚とされていますが、分布は日本各地に分布している川魚ですが、日本海側や東北地方以北は少なくなっています。
ウナギは、万葉歌人の大伴家持は、ウナギが夏ヤセに良いということを歌に残しています。
ウナギという名前の由来の一説として、ウナギは腹側が白か淡黄色であることから、「胸黄(むなき)」と呼ばれ、それが転じて「うなぎ」になったのではないかというものがあります。
天然と養殖のウナギ
天然のウナギは貴重で、その味わいは別格で、食べ方は蒲焼きが主流ですが、日焼きやひつまぶしといった地域に根づいたさまざまな食べ方があります。
天然ウナギはごくわずかで、秋の産卵直前の「下りウナギ」は脂がのって美味なので人気も高いも高く、腹部は黄色みを帯びていますが、そのほとんどは専門店へ流れてしまっています。
このように専門店が天然ウナギのほとんどを取ってしまうため、一般庶民に対して市場に出回るウナギのほとんどは、養殖のものが大部分になっています。
養殖ウナギは、腹部が白っぽく、泥臭さやクセはないものの、脂肪が多く、最近では国産のものに加えて、中国・台湾産などの輸入が増えていて、中にはアメリカ産やメキシコ産といったものもあります。
ウナギの稚魚は、「シラスウナギ」と言われ、全長は約5~6cmで、体重は200g前後です。
シラスウナギは、冬から春にかけて深海で卵からかえりますが、それが川を上るところを河口付近で捕まえて養殖に利用しています。
シラスウナギは、だいたい2年ほどで成魚になるのですが、それまでに体重の約7倍の餌を食べると言われています。
絶滅危惧種になったニホンウナギ
近年は、海洋環境の変化、乱獲、親ウナギの住処となる川の環境の悪化などにより、養殖用のシラスウナギが獲れなくなり、価格が高騰していて、2014年には、国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギをレッドリストとして2番目に危険度が高い「危機」として絶滅危惧種に指定しています。
ニホンウナギはその数が急激に減少していて、現在、減少を止めるための適切な管理が行われておらず、絶滅してしまう可能性があるのですが、食べる量を抑制し、ニホンウナギが健全に成育できる環境を取り戻すことが重要になっています。
実は、日本で養殖されているニホンウナギのうち、半分から7割程度が不適切に捕獲したり流通しているシラスウナギから育てられています。
ニホンウナギを完全養殖しようとすると、莫大な費用がかかるためなのでしょうが、養殖のためのシラスウナギの捕獲には、都道府県知事の特別採捕許可を受ける必要があります。
また、シラスウナギは、およそ20cm以下の個体の捕獲は禁じられていて、全長約6cmのシラスウナギはその規制対象になっています。
ウナギの毒
ウナギには、血清毒を持っていて、ウナギの新鮮な血液を大量に飲むと、下痢、嘔吐、皮膚の発疹などを起こし、ひどくなるとチアノーゼ、不整脈、衰弱、感覚異常、麻痺、呼吸困難が起こり死亡することもあるとされています。
もっとも、ウナギの料理に大量の血清が混ざることがないうえ、60℃5分の加熱で毒性は失われます。
ウナギの栄養
ウナギには、目の健康維持に大切なビタミンAが豊富に含まれていて、脳の活性化や学習能力の向上、さらにはコレステロールを下げ、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を緩和するとされているDHA、血栓の形成を抑えて、高血圧を予防するEPAが豊富に含まれています。