夢の不老不死に向けての第一歩 | 健康トピックス

人類の夢の一つに、不老不死の薬があります。
この薬さえ飲んでいれば、一生若くいれて、しかも死ぬことがない永遠の命。

馬鹿いっちゃいけない。そんな薬ができて、もし世界中の人が不老不死になったら、どんどん子供が生まれて、地球の人口がパンクしてしまう。
あらたな心配がでてきそうですが、さすがに現在のところはまだ、残念ながら不老不死の薬というものはありません。

しかし、不老不死に一歩近づく人間を長寿にする薬と言われているものがあります。

人間を長寿にしてくれる薬とは

人間の最大の敵と言っても過言ではない『老化』です。
人間は老化することにより、ロコモティブシンドロームになり手足が思うように動かなくなったり、がんや心筋梗塞、脳卒中などの病気にかかるリスクもあがってきます。

このため、世界中で老化を遅らせるための研究がこぞって行われてきました。

その中で、老化を遅らせるのではないかと言われる物質が発見されたのです。

その物質とは、ラパマイシンというもので、太平洋上のイースター島から採取された土壌に含まれていた細菌が作り出したもので、移植臓器拒絶の予防を目的としたリンパ脈管筋腫症の治療のために免疫抑制剤として医療分野で使われています。

なぜ長寿につながるのか

米国のテキサス大学の研究では、マウスのエサにラパマイシンを混ぜて継続的に食べさせたところ、マウスの寿命が9~14%伸びたという報告があります。
では、どうしたこのラパマイシンが長寿につながったのかと言うと、ラパマイシンが老化を調整しているタンパク質の『mTOR』の活性を抑える働きがあることからきています。

『mTOR』は、哺乳類などの動物で細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼ(セリン・スレオニンキナーゼ)の一種で、複数のタンパク質による複合体を形成していて、インスリンや成長因子、栄養状態、酸化還元状態、細胞内外の環境情報を統合し、細胞の分裂や生存、寿命を調整している中心的なタンパク質になっています。

実際に、mTORを抑制すると、がんやアルツハイマー型認知症、骨粗鬆症、パーキンソン病、老化に伴ういろいろな疾患のリスクが減少する研究例がでています。

mTORは、若くて成長が必要なときには細胞分裂を活発にさせますが、歳をとると細胞の機能を害して疾患を発症させる要因になる可能性があります。

日本ではラパマイシンは使われているのか

日本では医療用医薬品として『リンパ脈管筋腫症』の治療に用いられています。
リンパ脈管筋腫症lymphangioleiomyomatosis(LAM)診断基準等を参考に確定診断された患者を対象に使用される薬になっていますので、それ以外の目的では使用されません。

なぜ長寿の薬として使われないのか

当然、そんな長寿の薬だったら、みんな飲んで長生きすればとなりますが、物事はそう簡単ではありません。
マウスの実験では結果がでていますが、人間に対して、長寿効果がどれだけあるのかということもエビデンスがありません。
理由はそれだけではなく、ラパマイシンは、免疫抑制剤ですので、もし服用すると免疫力が低下してしまい感染症に罹患しやすくなる可能性があります。
マウスの実験でも、白内障や睾丸萎縮症などの副作用もでていて、人に対する安全性に対しては非常に問題があります。
したがって、ごく限られたものに限った使用になっているのです。