大豆イソフラボンとエクオール | 健康トピックス

大豆イソフラボンは、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインの3つに大別されますが、このうち、ダイゼインが腸の中で、腸内細菌によって代謝されて、『エクオール』という成分になります。

エクオールの産生能

エクオールは、女性ホルモンであるエストロゲンと非常に化学構造が良くにている女性ホルモン様成分で、大豆イソフラボンそのものよりも強く、細胞のエストロゲン受容体に入り込むことで作用します。

エクオールには、優れた抗酸化作用があり、更年期症状の改善や骨粗しょう症予防、脂質代謝改善作用、血管内皮作用があり、メタボ予防や皮膚老化の予防にも効果が期待されています。

エクオールが体に良くて、大豆イソフラボンのダイゼインからできるというのであれば、別に『エクオール』なんて言わないで、黙って『大豆製品』を食べて『大豆イソフラボン』を摂っていればいいようなものですが、実は、すべての人が、大豆イソフラボン(ダイゼイン
)からエクオールを作れるというわけではないのです。

マウスやラット、ニワトリ、牛、ヤギ、ヒツジでは、全ての個体においてエクオールを作ることができますが、人間はそうもいかないようです。

人種別でもエクオールを作れる人の割合は違っていて、欧米人では20~30%、日本人は50%となっています。

日本(50.0%)、中国(54.9%)、台湾(51.5%)といった大豆の食習慣がある地域では、エクオールを作れる人の割合が高くなっていて、欧米やオーストラリアでは低くなっているという疫学研究結果も出ています。

エクオールの産生能は、男女や遺伝的素因はあまり影響していないようですが、食物繊維や大豆、海藻の摂取といった食物因子は、関係しているのではないかと言われています。

しかし最近、食の欧米化が進んでいるせいか、日本でも若年層でのエクオール産生者の率の低下が指摘されています。

エクオールの産生する腸内細菌

エクオールを、大豆イソフラボンのダイゼインから代謝して作り出すには、腸内細菌の働きが大切になってきます。

エクオールは腸内細菌によって作られていきますが、いくつかエクオールを産生する腸内細菌がみつかっています。

日本では、人間の腸内から、バクテロイデス属(E-15株)、ルミノコッカス属(E-17株)、ストレプトコッカス属A6G-255株、ラクトコッカス属(20-92株)、スラッキア属(TM-30株、DZE株)、アドラークロイチア属(FJC-B9株)、エゲレセラ属(YY7918株)、スラッキア属(HE8株、NATTS株)などが、ダイゼインからエクオールを産生する腸内細菌として研究されています。

それであれば、これらの腸内細菌が元気になる食物繊維やオリゴ糖などを食べればいいだろうと思うかもしれませんが、そんな単純ではないのです。

エクオールの産生ができない人

エクオールが産生できないより、できたほうが良いのですが、エクオールが産生できるかどうかについては、エクオール試験というものが行われていて、これは尿や便のサンプルを送れば測定してもらえる仕組みもできているようです。

保険適用ではありませんが、ネットで『エクオール試験』などで検索すると、いろいろ測定してもらえるところが見つかると思います。

エクオールが産生できない人は、それじゃといっても腸内細菌が元気になる食物繊維やオリゴ糖などを食べればいいだろうといって摂取しても、エクオールは増えないという報告もあります。

また、それならばと腸内細菌自体を摂取してしまうという方法もありますが、口から腸内細菌を入れても、腸内フローラとして定着するのはなかなか難しいようです。

最近では、エクオールのサプリなども販売されているようですが、腸内フローラとして定着し蓄積されるということになると難しいことからか、毎日飲むことが推奨されています。

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