環境省が令和元年度に全国171地点において、PFOSやPFOAの排出源となり得る施設の周辺を調査した結果、沖縄県を中心に米軍基地周辺の水域が汚染されていることが判明して話題になりました。
使われてきてはなってきているが問題もあるPFOSやPFOA
PFOSやPFOAは、撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤などいろいろな用途で用いられていましたが、環境上問題があるとして、だんだんと使用しなくなってきていますが、それでも代替品の無いエッチング剤の製造、半導体レジストの製造、業務用写真フィルムの製造においては使用されていますが、国内では製造が禁止され、国外においても製造や使用が規制されています。
PFOS(ピーフォス)はペルフルオロオクタンスルホン酸、PFOA(ピーフォア)はペルフルオロオクタン酸で、いずれもフッ素化合物になり、水をはじき、熱や薬品に強く、光を吸収しないといった特徴を持っています。
PFAS(ピーファス)という言葉も聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これは「ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」の略で、4700種以上にわたる化学物質の総称のことを指し、この中にはPFOSやPFOAも含まれています。
PFASは、フッ素加工のフライパンやはっ水仕様の衣類、塗料などにも広く用いられていますが、これはPFOS、PFOAは使用していません。
一方で、PFOSやPFOAは、発がん性や発達障害などの報告があり、動物実験においては、肝機能の低下、コレステロール値の上昇、発がんリスクの上昇、免疫性の低下などが認められています。
蓄積が問題のPFOSやPFOA
PFOSやPFOAは、その蓄積性ゆえに問題になっています。
PFOSやPFOAは、環境中でほとんど分解されないため、残留性や生物への蓄積性などが問題になっています。
さらに人体への蓄積性が懸念されていて、体への健康被害も急性的なものではなく、体内での蓄積によって起こってくるとされています。
どんな健康被害が出てくるのあというと、米国で十分な証拠があるものとして報告されているものとしては、「脂質異常症」、「腎臓がん」、「乳児・胎児の発育の低下」などがあります。
さらに、簡単には分解できないため、永遠の化学物質であり、毒性が親から子の世代へ影響し続けるといったことも懸念されています。
PFOSやPFOAの基準
2019年までは、PFOSやPFOAに関しては、水道法による規制がありませんでしたが、2020年から推動水質に関する基準値の位置づけが、要検討項目から要監視項目に変更されたのに伴い、その目標値も設定されました。
暫定目標値は、PFOSとPFOAの合算値で、0.00005mg/L以下つまり50ng/L以下とされました。
しかし、きちんと実態を調査し、問題を把握する必要があるものの、暫定目標値は、あくまでも目標値であって守ることが義務化されているわけではなく、測定の義務もないことから、実体の把握という観点から難しくなっています。
ようやく、都道府県や事業者などに対して、水道約1万2千カ所の状況を報告するよう通知が出され、調査が始まった段階です。