心配事があったり、悩みがあったりすると、精神的に落ち込んだりして、体調も不定愁訴などのいろいろな症状がでてきます。
西洋医学では、ストレスや心配事などによって、自律神経のバランスが崩れ、ホルモン分泌にも影響が及び、いろいろと体の不調につながっていくというように、自律神経やホルモンのバランスの乱れによって体調の不調が起こってくるという説明になるかと思います。
漢方の七つの感情
漢方では、感情が病気をもたらすとして、身体の内側から起こり、臓腑を傷めてしまう原因要素のことを『内因』と言っています。
そして、『内因』として『七情(しちじょう)』があり、その七情とは「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」の7つの感情になります。
漢字を見れば、大体は意味がわかると思いますが、強いていえば「思」がわかりにくいかもしれません。
喜び、怒り、憂い、思い悩み、悲しみ、恐れ、驚きということになります。
もちろん人間には感情がありますし、常にいろいろな感情を持っていて、もちろんそれだけでは病気にはなりません。
しかし、ある感情を強く抱いたり、その感情が慢性的に続いたりすると病気になってしまいます。
七情と五行の関係
東洋医学では、『陰陽』とともに『五行論』という考え方があり、それは「万物は自然界における 木・火・土・金・水の5つの基本物質で構成され、そのバランスのもとに成り立つ」というものです。
五行は、木火土金水(もっかどこんすい)、つまり、木が燃えて火を生じ、火が灰になり土となり、土の中で金が生まれ、金属に水滴が生じ、水により木が成長する。
さらには木は土の中に入り込み、土は水を吸収する、水は火を消し、火は金を溶かす金は木を切る。
このように万物はお互いに与え合ったり奪い合ったりしていて、自然界のすべての物は孤立することなく相互に関係を持って平均を保っているという思想で、それは人体にも当てはまるのです。
そして臓器や感情もこれら五行に当てはめられ、次のように関連づけられています。
怒りすぎると気が上昇し、肝を傷つける。
喜びも過ぎると気がゆるんで、心を傷つける。
思い悩みすぎると、脾を傷つけ気が停滞する。
悲しんだり憂いだりしすぎると気は消えて、肺を傷つける。
恐れたり驚いたりしすぎると、気が下がったり乱れたりして腎を傷つける。
喜びすぎてもダメ
怒りや悲しいはともかく、喜びすぎて何が悪いんだ?と考える人もいると思いますが、漢方の考えでは、喜びすぎると気がゆるんで心を傷つけることによって、心の機能が衰えて、集中力低下や不眠、精神錯乱などにつながるとされているのです。
面白いことに、五行論により、七つの感情である七情も5つに分類されているわけですが、悲と憂、恐と驚は同じグループに組み込まれていますが、考えてみると、どちらも似たような近い感情なのかもしれません。