東洋医学では、自然界の気候の変化が病邪に変わるとされています。
六気と五運
『六気(ろっき)』は、自然界の正常な気候の変化で、空間つまり大気の気象現象を指します。
東洋の思想では、『五運六気』と言われていて、」の五運とは、五運とは地中の気象現象のことを指し、六気は大気の気象現象を指します。
『五運』つまり地中の気象現象には、「木(風)・火(暑、熱)・土(湿気)・金(乾燥)・水(寒)」の5つがあるとされています。
『六気』つまり大気の気象現象には、「風・熱・湿・燥・寒・火」の6つがあるとされています。
六気と病気
六気をみていくと、それぞれの気が現れやすい季節があり、『主気(しゅき)』と呼ばれています。
春は気温の上昇に伴って空気の対流が生まれ風になり、梅雨時に入ると湿気が出てきます。
夏になると熱くなってきて、秋から冬になると空気が乾燥してきて、真冬になると寒くなってきます。
それでは火は何かというと、これはそれ以外の五気「風・熱・湿・燥・寒」が高まった時に出てくるとされています。
正常な気候の変化であれば、それが原因で病気になるということはありませんが、夏の暑さが度を越えてきたり、冷夏で暑くならず涼しかったりすると、六気に過不足が生じて、病邪(邪気)になってしまうというのが東洋的思想にあり、その病邪になった六気は、『六邪(ろくじゃ)』又は『六淫(ろくいん)』と呼ばれます。
『六邪』は、六気に「邪気」の「邪」をつけて、それぞれ「風邪」・「寒邪」・「湿邪」・「暑邪」・「火邪」又は「熱邪」・「燥邪」と呼ばれます。
六気の過不足がどのくらいになると不調を感じるかは、個人個人の体質などによって異なってくるのです。
この「六邪」は、皮膚表面や鼻・口などから体内に侵入してきて、いろいろな症状が出てきます。
梅雨時の湿邪
梅雨時は、湿気があり湿邪を受けることが多く、この湿邪は体内に親友すると臓腑にとどまって、経絡を詰まらせる特長があります。
湿邪によって経絡が詰まったことにより、気・血・水の巡りが悪くなる、尿が出づらかったり、大便がねっとりとして出にくくなったり、胸がつかえたり、水滞がおきてむくみが出てきて、全身が重だるく感じたり、関節が痛んだりしてきます。
湿邪は、体にべっとりとまとわるつくような粘り気が特長なので、一度とりつかれると病気が反復してなかなか完治しにくいという特徴があるのです。
梅雨時、じめじめした時期に体がむくみ、体の重だるさがあり関節が痛んだりするのがずっと長く続くというのも、湿邪がまとわりついて治りにくいためで、適切なケアをしないと、梅雨の間こういった症状が長く続いたりしてしまいます。
夏の暑邪
夏は猛暑日が続いたりして暑くなると、暑邪が人体を襲い、高熱が出たり、汗を大量にかいたり、顔が赤くなったりします。
汗が大量に出ると、水にあたる津液や気が消耗するので、虚脱感が出たり息切れを起こしたりして、いわゆる夏バテのような症状になってしまいます。
このように大気の変化によって、体も影響を受け、邪気が入りこみやすくなり、いろいろと症状がでてきてしまうのです。