健康には食生活と休養が非常に大切だと言われていて、食の乱れや過労は病気の原因になってしまいます。
東洋医学においては、この食生活の乱れや過労についてどのような考えになっているのでしょうか。
飲食不節
東洋医学においては、食生活の意誰からくる病因に対して、『飲食不節(いんしょうふせつ)』という言葉が使われます。
飲食不節は、不潔なものや腐っているものを食べるという以外に、食生活の乱れ、つまり過食・少食・偏食なども含まれます。
東洋医学で過食・少食・偏食がいけないと考える理由
『過食』は、食べる量が多く体に良くないということはわかると思いますが、東洋医学的に考えると、過食により消化吸収の働きを担っている脾・胃に過度な負担がかかり、こういうことが繰り返されることにより、消化しきれない飲食物が邪気となって『食滞(しょくたい)』が生まれ、それにより胃腸の働きがそこなわれてしまうということになります。
この食滞の状態が長く続くと、気や血の流れも滞ってしまいます。
それじゃ、『少食』ならいいのかというと、一見ヘルシーで健康そうに思えるかもしれませんが、これも良くありません。
なぜならば、体をつくる気や血は、飲食物の栄養分である『水穀の精微(すいこくのせいび)』からつくられているので、少食によって気や血おが不足し、体の抵抗力が低下してしまうからです。
『偏食』は、最も病気になりやすい原因になるものと考えられていて、やはり食事はバランスが大切だということになります。
東洋医学では、酸・苦・甘・辛・鹹(かん)の5種類の味があり、味の偏った食事は五臓のバランスを崩すと言われています。
西洋医学でも、甘いもの・脂っこいもの・味が濃いもの・お酒の飲みすぎなどは体に良くないと言われていますが、こうしたものは体内で湿熱を生む性質があるのです。
臓器に津液がたまりやすくなり、その臓器にたまった津液が熱をもち、湿疹や黄疸、蓄膿症といった症状がでてきます。
夏場に冷たいものばかり飲んでいると、お腹が痛くなったり下痢をしたり体がむくんだりしますが、これは痰湿といって、過剰な水分や冷えからきています。
辛いものなどを食べ過ぎると、体内で熱と乾燥が起こって、便秘や痔などが起こってきます。
東洋医学で考える過労
東洋医学では、『労逸(ろういつ)』という言葉があり、これは疲労を意味する『労倦(ろうけん)』と、怠惰な生活を送るという意味の『安逸(あんいつ)』を合わせた言葉になっていて、過剰な精神活動、過剰な肉体労働、過剰な性行為の3つがあります。
過剰な精神活動は、東洋医学では『労神過度(ろうしんかど)』と呼ばれ、いわゆる頭の使いすぎや考えすぎがこれにあたり、こうした状態が続くと、心と脾の臓器のはたらきが損なわれ、不眠・動悸・食欲不振・情緒不安定といった症状が現れてきます。
過剰な肉体労働は、東洋医学では『労力過度』と呼ばれ、体や臓器の活動のもとになっている気の不足をまねき、臓腑の働きw衰えてしまうことにより、だるさ、倦怠感、息切れといった症状がでてきます。
過剰な性行為は『房事過多(ぼうじかた)』と言われ、腎の機能を低下させることで、老化を早め、射精異常・月経不順、腰や膝のだるさにつながっていきます。
逆に運動不足で体を動かさないことを『安逸過度(あんいつかど)』と言いますが、気や血のめぐりが悪くなり、新陳代謝が落ち、臓腑の機能が低下してしまうことから、体が重く、動くのがおっくうになり、肥満やむくみ、疲れやすいといった症状につながっていきます。