口腔は消化管の入り口ともいえる部位ですが、どのような特徴があり、どんな役割を果たしているのでしょうか。
特殊な口腔という場所
ロから肛門に至る消化管は、「食物を一時的に貯めて消化するところ」、「消化液を出すところ」、「栄養分や水分を吸収するところ」など、いろいろな役割を担う多くの組織・器官から成り立っています。
その中でも『口腔』は消化管の入り口として、食物が最初に入り停留する空間と言えます。
消化ということを考えたとき、口腔の中で食物が嘴み砕かれ 消化作用ももった唾液が混ざり、そこで食べ物の最初の消化作用が行われるとともに、味や匂いを感じます。
さらに『口腔』というと、ついつい唾液のアミラーゼなどによる消化作用に目がいきがちですが、消化以外にも、いろいろな役割を担っています。
『口腔』は、コミュニケーションのための多くの言語もつくり出し、呼吸機能も補助しているのです。
一般的には、単に食べ物が入る入り口といった認識の口腔かもしれませんが、消化、コミュニケーション、呼吸にいたるまで、多くの生理作用において重要な役割を果たしているのです。
このように『口腔』は、胃や腸など他の消化管のさまざまな空間と比べてみると、咽頭から肛門までの消化管にはみられない、多くの機能をもったきわめて特殊な空ということができます。
口腔ってどこからどこまで
そもそも、『口腔』ってどこからどこまでというと、解剖学的に言うと、上方は口蓋で、上前方は硬口蓋、上後方は軟口蓋になり、下方を口腔底で、前方を口唇、側方によって囲まれた空間になります。
口腔の唾液腺の働き
口腔内は唾液により常に潤っていますが、唾液を分泌する唾液腺には大唾液腺と小唾液腺があります。
大唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺の3種類になり、分泌細胞でつくられた唾液が太い導管系により口腔の特定の場所に排泄されます。
唾液は1日に1.0-1.5Lも口腔内に分泌されていて、炭水化物の消化酵素である唾液アミラーゼを多く含んだ漿液性唾液と、粘膜の表面を滑らかにする粘液性唾液とがあります。
この粘性の唾液は咀嚼で喩み砕かれた食物に混ざり、とろみをもった飲み込みやすい性状への変化します。
唾液は口中の浄化作用もあり、消化作用、浄化作用、潤い作用など多くの役割を果たしています。
大唾液腺の他に、口腔内には主に粘液性の唾液を分泌する多くの小唾液腺があり、例えば口唇腺は口唇の裏側に唾液を分泌し口唇をぴったりシールして、口腔から食物や水分の一部を漏らさないことに役立っています。
また口蓋腺は主に軟口蓋に粘液性の唾液を分泌しているので、常に口蓋は湿潤し、舌の動きをスムーズにして発音、咀嚼、嚥下機能を補助できるのです。