現代人は腸内細菌が減っている? | 健康トピックス

腸内細菌は、善玉菌から悪玉菌までいろいろありますが、私たちの体にいろいろな影響を及ぼしています。

腸に入ってくる食べ物を分解して吸収するのはもちろんですが、その他にもいろいろな働きがあるのです。

快刀乱麻の働きをする腸内細菌

腸内細菌は、腸に入ってきた食べ物を分解し吸収を助けるのはもちろん、不要物の排泄を助けます。

さらに腸内に侵入してきた病原菌を追い出す働きもあり、ビタミンやホルモンの合成も促します。

セロトニンやドーパミンなどの生成にも深く関わっています。

以上のことから、食べ物から栄養を摂るだけでなく、アレルギーや感染症から身を守ることができるのも、うつ病などの心の病気から守っているのも、腸内細菌による働きが大きいと言えるのです。

一方、腸内細菌のほうからすれば、人間の腸内は安住の棲家ともいえ、人間がしっかりと食べ物を食べてくれることにより、エサが入ってくるわけです。

人間と腸内細菌は、持ちつ持たれつの Win - Win の関係、相互扶助関係にあると言えます。

ウンコでわかる腸内細菌

腸内細菌がしっかりと働き、腸が動いているかどうかを知る方法はいろいろありますが、一番手っ取り早く知る方法は、ウンコです。

ウンコの量が多いのは健康な証拠と言われますが、腸内細菌の数が多いとウンコの量も増えてきます。

ウンコを分析すると、全体の80%が水分になっています。ウンコの中の食べかすは、なんと5%程度なのです。

それではあとの15%はどこに行ったのかというと、10%は腸内細菌の死骸であり、5%は腸粘膜の残骸になります。

ウンコから水分を除けば、その半分は腸内細菌の死骸ということになりますが、ウンコの量が多いということは、それだけ体内で活発に腸内細菌が活動しているという証拠にもなるのです。

減ってきている日本人のウンコ

戦前の日本人のウンコは、1日平均400gもあったと推定されています。

ところが、現代人は、1日平均150g~200gになってしまっています。

つまり、ウンコの量が少なくなってきているということは、それだけ腸内細菌の量も少なくなってきていると言えます。

なぜ日本人のウンコの量は減ってしまったのか

なぜ同じ人間、同じ日本人なのに、戦前と現代ではウンコの量、腸内細菌の量が減ってしまったのでしょうか。

これには、戦後のの高度経済成長期あたりから変化してきた日本人の食生活や生活スタイルと深く関係があります。

日本人は、古来より穀物や野菜、海藻、きのこといった食物繊維が豊富な食材を好んで食べてきました。

ところが戦後、食の欧米化が進み、これらの食物繊維の摂取量が激減してしまいました。
これが日本人の腸内細菌の量が減ってしまった大きな原因ではないかと考えられています。

さらに、食の欧米化は、肉の摂取量の増加をもたらしました。

肉食に偏った食事は、繊維が少なりウンコの量が減ってくるばかりか、悪玉菌が優勢になり腸内細菌のバランスをくずす原因にもなります。

さらに、日本独特の発酵食品、納豆や漬物、味噌汁といったものを食べる割合が減ったこと、いろいろな食品添加物の摂取量が増えたことなども原因しています。

加えて、抗生物質の使用も、腸内細菌が減った一因だと言われています。抗生物質を服用することで、病原菌の増殖が抑えられるのですが、腸内細菌にも悪影響が出てきてしまいます。

過剰に清潔なのも腸内細菌を減らす原因に

昔の人は、野山を駆け回ったり、どろんこになって遊んだり、地面に落ちたものですら口にしていましたが、最近では清潔志向が高まって、周りを見ても抗菌グッズや抗菌仕様の商品にあふれてしまっています。

こうしたことも、現代人の腸内細菌が少なくなってきてる理由の一つになっていて、行き過ぎた清潔志向は、かえって免疫力の低下につながってしまうのです。

最新情報をチェックしよう!