ヒルドイドは、「ヘパリン類似物質」を有効成分とする非ステロイドの塗り薬になります。
ヘパリン類似物質の効果
『ヘパリン類似物質』は、優れた保湿効果と血行促進作用があることから、皮膚を乾燥から守り、皮膚科領域において幅広く用いられている塗り薬になっています。
また、血行を良くして痛みや腫れを抑えて治すので、手あれにも良く用いられ、乾燥肌・皮脂欠乏症、しもやけ、ケロイド、傷あと(肥厚性瘢痕)などの治療に用いられます。
『ヘパリン』というと抗凝固剤として有名ですが、『ヘパリン様物質』はヘパリンと非常によく似た構造になっています。
『ヘパリン様物質』は、ムコ多糖の多硫酸化エステルで、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミからなる二糖を反復単位とする多糖体を、多硫酸化したものになり、その化学構造の中に硫酸基、カルボキシル基、水酸基といった多くの親水基を持つことにより、優れた保湿力を発揮する血行促進・皮膚保湿成分になります。
動物実験においても、角質水分保持増強作用、血流増加作用、血種消退速算作用、繊維芽細胞増殖抑制作用、抗炎症作用、血液凝固抑制作用などが確認されています。
ヘパリン類似物質の使用上の注意
『ヘパリン類似物質』は、顔や頭皮にも使用ができ、低刺激であることから生後間もない赤ちゃんに処方されることもあるのですが、まれに皮膚炎や発疹などの副作用があらわれることもありますので、その場合は使用を中止し、医師や薬剤師に相談することが大切です。
ヒルドイドの添付文書やインタビューフォームによると、副作用として過敏症が0.1~5%未満の頻度であり、皮膚炎、掻痒、発赤、発疹、潮紅などが出ることがあるとされています。
血小板減少症・血友病・紫斑病・出血性血液疾患の方、少量の出血でも健康被害が懸念される方については、ヒルドイドを使用することができませんのでご注意ください。
ヒルドイドは、ヘパリン様物質を有効成分としているため、血液凝固抑制作用により使用することで血が止まりにくくなる可能性があるので、血友病、血小板減少症、紫斑病などのあざが出やすい病気がある場合、僅かな出血でも重大な結果を来すことが予想される人は使用できませんので、その旨を医師・薬剤師に話すようにしてください。
また妊娠中や授乳中の人は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合によみ使用となっているので、医師・薬剤師に相談するようにしてください。
ヘパリン類似物質でシミが薄くなるのか
結論を先に言ってしまうと、『ヘパリン類似物質』には、メラニン色素を還元させるなどの作用がないため、シミを薄くしたりというような効果はありません。
ただし、保湿作用が優れているので、肌の乾燥状態が改善されることにより、紫外線による炎症の鎮静作用やターンオーバーを促進などが期待できます。