逆流性食道炎というと、胃酸過多というイメージがありますが、そうではない場合もあります。
多い胃食道逆流症GERD
逆流性食道炎を含むGERD(胃食道逆流症:Gastroesophageal Reflux Disease)は、胃食道逆流により引き起こされる食道粘膜傷害と煩わしい症状のいずれかまたは両者を引き起こす疾患と定義されています。
日本におけるGERD(胃食道逆流症)の患者数は、約1000万人から1500万人と言われていて、成人の5人に1人と考えられています。
胃食道逆流症GERDの原因は胃酸過多だけではない
胃食道逆流症GERDの原因の一つは胃酸過多で、食事をしたことにより分泌された胃酸が、食事と混ざることでpHが中和されるのですが、胃酸過多だと胃の酸性度が強いままで中和されることなく、胃の出口にあたる幽門輪が開かなくなり、胃内部の圧力が高まり逆流が起こしてしまい起こります。
普通、逆流性食道炎など胃食道逆流症GERDというと、こうした胃酸過多のケースをイメージしますが、実は胃酸自体の分泌量は低下しているケース、つまり『低胃酸症』のケースでも起こるのです。
『胸やけ』というと胃酸過多というイメ0時がありますが、実際には胃酸不足による消化不良や胃もたれが原因で胸やけが起こることもあります。
胃酸の分泌量が少ない場合、消化に時間がかかるため食物は胃に長時間留まることになります。
そして、食道と胃の間にある下部食道括約筋が時間の経過と共に緩んだ時、胃の内容物が食道へ逆流することによって胃食道逆流症GERDが起こります。
胃酸過多に比べると、胃酸の量は少ないものの、本来胃酸に晒されることがない食道はダメージを受けてしまいます。
低胃酸症の原因と対応
胃酸は、消化にとって大切なのはもちろん、食品に付着している細菌やウイルス、カビ、寄生虫などを消毒して、食中毒や感染症を予防してくれてもいます。
最近の研究では、人口の約30%が『低胃酸症』であると推定されているという報告もあります。
『低胃酸症』の原因としては、ストレス、ピロリ菌、更年期、薬の副作用などいろいろあり、また一般的に加齢とともに胃酸の分泌は低下します。
『胃酸過多』であれば、制酸剤を服用しますが、『低胃酸症』の場合は胃酸が出すぎているのではなく不足しているので、そこに制酸剤を服用してしまうと、胃酸は抑制されてさらに悪循環になってしまいます。
逆に胃酸分泌を促すサプリメントやレモン水などを食事と一緒に摂ることで、胸やけを起こしにくくなったりします。
『低胃酸症』である場合、早食いをやめてよく噛むことで、胃への負担を減らすことができます。
また1回あたりの食事量を減らし、一度にたくさんの食事を摂ることを避けることもよいと思います。
食膳に梅干しや酢の物などの酸味のあるものを食べることで、胃が刺激され胃酸の分泌を良くしてくれます。