視野を回復するといっても、有効視野のトレーニングになります。
視野が欠けてきたなと思ったら、早めに眼科を受診して、目薬などを使って進行を食い止めることが重要になってきます。
視野に異常をきたす疾患
視野に異常をきたす疾患としては、黄斑変性症や緑内障があります。
黄斑変性症になると、網膜を中心としてむくみや出血が生じて、視野の中心部がゆがんで見えるようになったり、薄暗く見えたりしてきます。
緑内障は、眼圧によって視神経が圧迫され、視覚機能が弱くなり、視野が欠けていってしまいます。
日本人は一般的に視神経が弱いとされていて、眼圧が正常であっても、その正常な眼圧でも視神経が圧迫して緑内障になってしまう正常眼圧緑内障の人も多くいます。
黄斑変性症は日本人の失明原因の第4位、緑内障は第1位を占めていますが、近年ではこの黄斑変性症や緑内障の患者が急増しています。
パソコンやスマホを日常的に使うようになり、それらで手元の作業をする時間が多くなっていることや、発症要因の1つとされる加齢に関連して高齢化社会になってきていることも、これらの患者急増につながっているのではないかと指摘されています。
千円札で視野回復
視野は、いわゆるものが見えるという一般にいう視野と、それを有効に使えて物が判断できるという有効視野があります。
後者の有効視野については、トレーニングで改善できるのではないかという研究がされています。
有効視野のトレーニングをするとことで、脳の視覚野が活性化されて、物がはっきり見えるようになるのです。
どのトレーニングの中で、二本松眼科病院副院長の平松類氏が推奨しているトレーニングをご紹介します。
千円札を両手で持って、光にかざし、中央の円形の透かしに浮かんでくる野口英雄の顔を見続けます。
少し見づらいものを見ることによって、ぼやけた画像を鮮明な画像に修正する脳の機能が鍛えられるのです。
毛様体筋のストレッチ
目の毛様体筋のストレッチも効果的です。
目の毛様体筋は、目のピントを合わせるはたらきをしていますが、ここが緊張していると、目の血液循環が悪くなって、眼圧が上昇したり、網膜の出血につながってしまうので、遠近ストレッチをすると効果的です。
遠近ストレッチは、顔から30㎝先にもった方を10秒見続けて、そのあと6m先の壁にかかった絵を10秒見続けるといったことを交互に10回繰り返します。
本や絵をあげましたが、見る対象は別にこれらにこだわる必要はなく、重要なのは、30㎝先の目標物と、6m先の目標物を10秒ごとに交互に見続けるという点になります。
その他には、片方の手の人差し指を目の前に立てて注視し、そのままの状態で腕をのばしたり、手前に引きつけたりを10回繰り返すトレーニングも有効です。