進む腸内マイクロバイオームの研究開発 | 健康トピックス

『マイクロバイオーム』とは、ヒトの体に棲んでいる細菌全体を指す言葉ですが、最近では腸内マイクロバイオームつまり腸内細菌叢といろいろな疾患の関連性を調べたり、腸内細菌叢を利用して疾患を治療していくといった研究が盛んになってきています。

メタジェンセラピューティクス

欧米などで「マイクロバイオーム」を利用した治療法の開発などの研究が進められている中、日本においても山形県鶴岡市に本社を置く「メタジェンセラピューティクス」という会社が研究開発を始動しています。

2021年、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)では、「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業」の制度において「腸内マイクロバイオーム(MB)制御による次世代創薬技術の開発」に係る研究開発課題の一環として、「MB創薬に関わる技術開発及び基盤構築」を進めています。

腸内細菌叢バンクを目指して

『ディスバイオーシス』つまり腸内細菌の乱れは、がん・潰瘍性大腸炎・パーキンソン病・アレルギーなど、いろいろな疾患と関係があることが明らかにされてきていて、欧米でも研究が進んでいます。

日本でも、「メタジェンセラピューティクス」により研究が始まっていて、将来的に腸内細菌による医療や医薬品開発を見据え、腸内細菌ドナーを集めて、『腸内細菌叢バンク』を作っていくことを計画されています、それには検査コストやドナーの時間的負担などいろいろな課題があります。

そのため、腸内細菌ドナー集めの開発の一環として、すでに準備が進められています。

抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法

順天堂大学とメタジェンセラピューティクス株式会社は、共同研究講座を設置し、腸内細菌叢移植療法の基礎臨床的解明とその臨床応用研究を主要なテーマとし、研究を進め、その中で「活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とする抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が、先進医療Bとして厚生労働省より承認され、先進医療として2023年1月より順天堂大学医学部附属順天堂医院にて開始されています。

『便微生物移植』は、便の微生物である腸内細菌を移植するという画期的な治療法として2012年ごろに急激に普及をはじめました。

そして、抗生物質が効果があに重症の患者に92%もの成功率を示したのですが、簡単にいうと、健康な人の大便を、患者の腸に流し込むというものです。

気になるのがどうやって腸に入れるのかですが、鼻からチューブを使って入れる方法、肛門から浣腸で入れる方法、先端から薬などを放出できるようになっている大腸内視鏡を使う方法などがあります。

どうして便を移植すると良くなるのかというと、腸内細菌の多様性が重要であり、善玉菌がいるからといってけして良い腸内環境とは言えず、バランスが大切なのです。

特定の菌が増えすぎてしまうのではなく、バランスが良い腸内環境を作ることが大切になってくるのです。

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