東洋医学の治療法の一つである鍼は、体に鍼を刺すことから、注射のように痛かったり、血が出たいうイメージを持っている人もいます。
鍼と注射はぜんぜん違う
鍼を刺すと、注射のように痛くて血が出るということから、鍼で肩こりや腰痛が良くなったという人の話を聞いても、どうも自分は止めておこういう人もいます。
しかし、鍼=注射というイメージは間違っています。
鍼で使うものは、注射針よりもかなり細くなっています。
注射針も、予防接種や採血などその目的によっても針の太さは違いますが、予防接種で使われる針はだいたい直径が0.4mm、採血の時に使われる針だとだいたい直径0.4~0.8mmです。
それでは鍼治療に使われる鍼はというと、直径0.16~0.2mmになっていて、細いものだと0.14mmで、これは髪の毛ほどの太さです。
つまり、鍼治療で使われる鍼の太さは、予防接種や採血で使えれる注射針の1/6~1/2ということになります。
鍼は細いので、柔らかくしなります。
またこれは注射針と鍼の大きな違いなのですが、注射針は薬を入れたり、血液を採ったりするために中が空洞になっていますが、鍼は中が空洞になっていないため、抵抗なく皮膚に刺さります。
鍼は出血しないのか
鍼は全く出血しないといえば言い過ぎになりますが、鍼は血管を刺すわけではないので、ほとんど出血はしません。
また、鍼を行うのはそれなりの知識と経験をもった鍼灸師という資格をもった人たちが行うので、刺激が痛みを感じるまでにいかないよう、素早く軽やかに鍼を刺していきます。
鍼のナガワは15~90mmといろいろ朱里があり、これは治療する体の部位や目的によって使い分けられています。
鍼の材質としては、一般的にはステンレス製ですが、中には金や銀で作られてもので、同じ太さであれば、ステンレス製のものよりも、金や銀で作られたもののほうが、刺した時の刺激が穏やかでじんわりとしたものになるようです。
鍼ってただ刺しているの?
鍼はただ刺すだけでなく、ちょっとした手技が行われています。
鍼は、体の抵抗力の源である正気を回復させたり、病邪を取り除いたりしますが、そこで鍼を細かく動かす手技が行われています。
主な手技としては、鍼を刺してから一定の幅でその鍼を上下に動かす「提挿補瀉(ていそうほしゃ)」、鍼を左右に回転させる「捻転補瀉(ねんてんほしゃ)」といったようなことが行われていて、またこうした操作をしたあと、すぐに鍼を抜かずに一定の時間鍼を刺したままにしておく「置鍼(ちしん)」といったようなことも行われます。
日本の鍼は、痛みがないように、鍼よりも少し短い管の中に鍼を入れて、管といっしょに皮膚に当て、この管を左手で抑え、右手の人差し指で管から飛び出している鍼の頭を軽く叩いて鍼をいれていく「管針法(かんしんほう)」という方法が行われていたりします。