秋から冬になると、石焼きいもが美味しくなってくる季節です。
さつまいもは、イメージとはちょっとちがい栄養成分が豊富なのですが、その理由や、自宅でおいしい石焼きいもの味を電子レンジで再現する方法などについてご紹介します。
さつまいものビタミンCはイモ類トップ
ビタミンCというと、レモンやブロッコリーといった食材に多く含まれているけど、イモなんかにはあまり入っていないんじゃないのというイメージがあります。
しかし、さつまいもには、カルシウム、カリウム、鉄、リンといったミネラルが豊富に含まれているだけでなく、ビタミンCの含有量もイモ類の中ではトップなのです。
可食部100g当たりでみると、さつまいもに含まれるビタミンCの含有量は、29mgとなっています。
しかも、さつまいもに含まれるビタミンCは、加熱に強いのが特長です。
なぜ壊れにくいのかというと、一緒に含まれているでんぷんによってコーティングされ保護されているためなのです。
さつまいもには、ビタミンDとビタミンKを除くほとんどのビタミンが含まれています。
β-カロテンは、黄色味が強いものほど豊富に含まれていて、紅いもの皮の部分には、強い抗酸化作用をもつ赤い色素成分であるポリフェノールのアントシアニンが豊富に含まれています。
さつまいもの栄養価が高いのはなぜ?
さつまいもは、ヒルガオ科で根の部分が食用とされますが、このねは細かいたくさんの根がついています。
これらが、土の隙間に入り込んで、肥沃な土の栄養をたっぷりと集めることができるようになっています。
だから、さつまいもは、他の植物が育たないような痩せた土地でもよく育つことから、凶作や飢饉などの時の救済食としても重宝されてきたのです。
もともとは、江戸時代に中国から沖縄に伝わり、「甘藷(かんしょ)」と呼ばれていましたが、その後、種子島や鹿児島県の薩摩で栽培されるようになり、それが関東にも入ってきました。
このとき、薩摩から来たイモということで、「さつまいも」と呼ばれるようになったようです。
さつまいもの炭水化物は太りにくい?
さつまいもというと、真っ先にイメージするのが、でんぷん・炭水化物という人も多いと思います。
炭水化物が多いことから、さつまいもは太るというイメージがありますが、さつまいもに含まれるでんぷんは、『レジスタントスターチ』と呼ばれる難消化性でんぷんで、消化されにくいという特長を持っています。
さつまいものでんぷんは、小腸で消化されず大腸まで届き、腸内細菌の善玉菌のエサとなって腸内環境を整えてくれますので、むしろダイエット効果、血糖値の上昇抑制、整腸といった効果が期待できるのです。
さつまいも独特の成分、ヤラピンとは?
さつまいもにしか含まれていないとされている成分があります。
さつまいもを切ると、白い汁が出てくることがありますが、これが樹脂の一種で『ヤラピン』と呼ばれる成分です。
『ヤラピン』は、皮の近くに多く含まれていて、熱に強く、胃の粘膜を保護し、腸の蠕動運動を促し、便をやわらかくする働きがあります。
おいしい焼きいもを作るには
一口に『さつまいも』といってもいろいろな品種がありますが、ホクホク系が好みというのであれば、関東地方の紅あずまや紅こがね、西日本の高系14号や鳴門金時や紅さつまといったものがオススメです。
しっとり系が好みという人は、濃厚な甘みがありしっとりとした食感が特長の安納いもがオススメです。
焼きいもの甘みは、さつまいもに含まれるでんぷんが、さつまいもに含まれているβ-アミラーゼという酵素によって、麦芽糖などに分解されることででてきます。
このβ-アミラーゼが活発になる温度が60℃~70℃と言われていて、さらにイモの水分を15~30%なくすと甘さが際立つとされています。
石焼きいもは、60℃~70℃の温度を保ちながら、約1時間加熱することで、強い甘みを引き出しているのです。
電子レンジの場合は、さつまいもを洗い、濡らしたキッチンペーパーで包んでラップでしっかりと巻いてから、600Wで表裏1分ずつ加熱し、それからさらに回答モードで表裏を7分ずつ加熱すると、石焼きいものような味を再現できると言われています。