私達は、食べ物を美味しく感じたりしますが、それは食べた時の化学的・物理的刺激が口腔や鼻などの粘膜にある感覚受容器で受け取られ、それが神経を伝わって大脳皮質に送られ、そこで風味として評価されるからです。
香味を感じる
食べ物のおいしさを評価するものとしては、外観、色、香り、味、固さ、歯ごたえ、のどごしなどがありますが、私達は食事をすると、視覚でイメージをし、嗅覚でにおいを嗅いで香りを感じ、味覚で味を漢字、触覚でテクスチャーを、そして噛んだりする音を聴覚で感じ、さらに温感や冷感で温度を感じます。
これらの刺激を認知し、おいしいとかまずいとかを判断し、食べるか食べないかを決めます。
食べもののにおいと味
食品の中にはいくつもの香気成分が含まれていて、そのバランスと相互作用によって食品特有のにおいが作り出されていて、その強さや変化によって、鮮度や熟成度の度合い、変質などを知る目安にもなっています。
食品に含まれる香気成分は、分子の粒が小さく揮発性なので蒸発しやすいのですが、ごく微量でもその食品の香気を特長づけている成分もあります。
香気成分としては、酒類や発酵調味料、果実などに含まれるアルコール類、バナナやリンゴ、なし、イチゴといった果物に含まれているエステル類、果実や花、加熱調理した肉類から出るアルデヒド類、食酢の酢酸、生の魚介類や肉類の香気成分となるアミン類、加熱調理した野菜や醤油、漬物、にんにく、チーズなどのメルカプタン類などがあります。
食品の味は、下の表面にある乳頭にある味蕾の中の味細胞が感知しています。
味においては、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の5つが基本味とされていて、その他、皮膚感覚をともなった辛味、渋味、えぐ味などがあります。
味覚と意義
甘味は、糖類からきていてエネルギー源になり、その甘味物質としては、単糖、オリゴ糖、多価アルコール、アミノ酸、ペプチド、サッカリンなどがあります。
酸味は、未熟な果実や腐敗したものの味で、食品の中の有機酸や無機酸が水に溶けて解離する水素イオンによって感じます。
塩味は、ミネラル類などで感じられる味で、塩化ナトリウムの食塩に代表されるように、多くの調理で味の基本とされています。
苦味は、珈琲・緑茶・紅茶に含まれるカフェイン、ココアやチョコレートに含まれるテオブロミン、ビールに含まれるフムロン、柑橘類に含まれるナリンギンやリモネン、きゅうりやにがうりに含まれるククルビタシンなどがあります。
旨味は、昆布に含まれるグルタミン酸、玉露に含まれるテアニン、かつお節に含まれるイノシン酸、しいたけに含まれるグアニル酸、貝類に含まれるコハク酸ナトリウムなどが有名です。