骨折を防ぐにはカルシウムをたくさん摂るとよいというのは間違い? | 健康トピックス

「牛乳にはカルシウムがたっぷり含まれているので、牛乳を飲まないと骨折しやすくなるわよ」
と子供のころに言われてきた人も少なくないと思います。

こうしたことからも、骨折しにくい丈夫な骨になるためには、カルシウムをきちんと摂らないといけないというイメージがあります。

果たしてこれは本当なのでしょうか。

骨折を防ぐためにはカルシウムをたくさん摂るべきなのか

結論を先にいうと、カルシウムには摂取基準量があり、不足していれば補給すべきだし、逆に摂り過ぎると死亡率を高める要因にもなりかねないということになります。

健康に関する情報に関しては、常にエビデンス、つまり科学的根拠がどのぐらい強いかということを意識しなければなりません。
健康関連の情報に関して、エビデンスということが言われている中、興味ある本があります。

世界の研究者が警鐘を鳴らす 「健康に良い」はウソだらけ 科学的根拠(エビデンス)が解き明かす真実

この本は、エビデンス(科学的根拠)が解き明かす真実ということで、実は常識だと思われていることが、本当は真実は違っていたというような内容のものを集めています。

その中で、「カルシウムを摂っても骨折は減らない?」という項目のところで、1つの論文を紹介しています。

Randomised controlled trial of calcium and supplementation with cholecalciferol (vitamin D3) for prevention of fractures in primary careBMJ 2005; 330
https://www.bmj.com/content/330/7498/1003

この研究は70歳以上の女性3314人で行われた研究で、で少なくとも股関節部の骨折のリスク因子(低体重・骨折歴がある・喫煙者・健康状態が良好ではないといったもの)を少なくとも1つ持っていて、1日のカルシウムサプリメントによる摂取が500mg以下の人について行われています。
1000mgのカルシウム(炭酸カルシウム)と800IUのコレカルシフェロール(ビタミンD3)を6ヵ月摂取するとともに、骨折のリスク減らす方法についての一般的なライフスタイル・アドバイスをしています。
そして36ヵ月の間、骨折の累積リスクと骨折までの時間の中央値を比較したところ、カルシウムとビタミンD3を摂ったグループとプラセボ(摂っていない)グループとの間で差は認められなかったというものです。

この論文は、3314人を対象として研究報告ですし、BJMという有名な医学雑誌に投稿されたものですし、エビデンスとしてはしっかりしたものです。

エビデンスはしっかりしているが、背景も考える

しかし、この論文はBJM(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル )に掲載された論文で、対象となっているのは日本人ではありません。

日本人の平均のカルシウム摂取量は国民健康・栄養調査によると、摂取基準量に足りておらず、カルシウムが不足がちということが指摘されています。
一方、イギリスでは普段から乳製品を多く摂り、水も軟水の日本と違い、カルシウムを多く含んだ硬水を飲んでいます。
さらに、研究では骨折のリスク因子を持っている人で行っています。

一般の日本人が骨折を防ぐためにカルシウムを補給することが有益であるかどうかをこの論文で判断するというのは少し慎重に判断すべきです。

健康関連のエビデンスならナチュラルメディシン・データベース

健康関連のエビデンスを調べるのであれば、次の書籍がオススメです。

健康食品・サプリメント[成分]のすべて 2017 ナチュラルメディシン・データベース(オンラインデータベースつき)

この本は、日本医師会・日本薬剤師会・日本歯科医師会が総監修しているもので、多くの論文を精査し、有効性に関してもエビデンスのレベルを6段階に分けて表示しています。
早速カルシウムを調べてみると、次のような記載になっています。

食事によるカルシウム摂取の不足が原因となっている骨量の減少を抑制する。
これは骨折のリスク低下につながります。

そして、この骨折のリスク低下につながるという有効性のエビデンスレベルを6段階のうち上から2番目の「おそらく効きます」としています。
これは、効果があるという評価の高い文献が、数百から数千の患者において実施された2つ以上の無作為化比較試験から、適切な臨床試験の意義を評価するための評価項目(エンドポイント)において肯定的結果が抱ているもので、概ね特定の効果について有効としているものです。

摂り過ぎるとリスクもあるカルシウム

ただし、世界の研究者が警鐘を鳴らす 「健康に良い」はウソだらけ 科学的根拠(エビデンス)が解き明かす真実でも指摘され論文が乗っているのですが、 健康食品・サプリメント[成分]のすべて 2017 ナチュラルメディシン・データベース(オンラインデータベースつき)でも指摘されているのが、カルシウムの摂り過ぎによるリスクです。

推奨量を超えてカルシウムを大量に摂取すると、心臓発作の可能性が高まるかもしれないということが示唆されています。
カルシウムが確実に心臓発作の原因と判断するには情報不足ですが、過剰摂取は控えるべきでしょう。

世界の研究者が警鐘を鳴らす 「健康に良い」はウソだらけ 科学的根拠(エビデンス)が解き明かす真実では、6万人余りを対象としたスウェーデンの研究が紹介されていて、カルシウムを大量に摂取しても死亡率が上がるという結果が出ています。
カルシウムを取ると、血管にカルシウムがくっついてかたくなり動脈硬化が進むということで関係しているのではないかとされています。

何事も適度というものが大切なのでしょう。