食物繊維は、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2つに大きく分けることができますが、その主な違いのまとめとともに、代表的な食物繊維についてご紹介していこうと思います。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の生理作用の比較まとめ
食物繊維は、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2つに大きく分けることができます。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維では、粘性などの物理的性質のみならず、体内においてもその生理作用は大きく異なってきます。
その違いについて簡単にまとめてみました。
まずは腸内細菌による発酵ですが、これは短鎖脂肪酸を作る水溶性食物繊維に軍配があがります。
高い発酵性をもつ水溶性食物繊維に対して、不溶性食物繊維の発酵性は低くなっています。
また、水溶性食物繊維は、短鎖脂肪酸を生成することから、腸内pHを低下させ腸内環境を整えますが、不溶性食物繊維では腸内のpH変化はありません。
一方、便の量については、保水性が高く便を軟化する不溶性食物繊維の働きが強く、便の重量や排便回数を増して、便秘の改善に役立ちます。
しかし、水溶性食物繊維に関しては、便の量という点においてはあまり作用しません。
食後の血糖値の上昇を抑えるのは、粘性の食物繊維がゲル化して栄養素を包み込むために吸収を遅らしゆるやかにすることによるので、粘性がある水溶性食物繊維での生理機能として期待できます。
コレステロールや胆汁酸の再吸収を妨げて血中のコレステロールの吸収を抑えるのも水溶性食物繊維になります。
満腹感については、水溶性食物繊維は、年齢により胃内容物の排出を遅らすことで満腹感を促す一方、不溶性食物繊維は、吸水性で胃内容物の排出速度を遅くして満腹感を促します。
どちらも作用機序は違いますが、満腹感による過食の防止という点では、水溶性食物繊維も不溶性食物繊維も効果があります。
セルロース
セルロースは、植物由来の食品に幅広く含まれている不溶性食物繊維です。
米糠や小麦ふすまなどの穀類の外皮に多く含まれています。
セルロースを多く含む食品は、よく噛んで食べることが大切で、こうすることによって唾液や胃液の分泌が多くなってきます。
その結果、口の中に入った食物は唾液や胃液により膨張し、胃の中に長時間滞留することになり、これにより満腹感を感じるようになり、過食や肥満を防ぐことができます。
海藻の食物繊維
海藻には多くの難消化性多糖類が含まれていて、粘性や吸着性が高くなっています。
その結果、海藻はぬるぬるしていたり、とろみがあったり、粘り気がでたりします。
紅藻類に多く含まれる酸性の多糖類として知られているのがアガロースで、寒天がよく知られています。
同じ紅藻類のアイリッシュモスという藻は、ガラクトースが結合した食物繊維を多く含んでいて、増粘剤などに利用されています。
こんぶなどの褐藻類には、アルギン酸が多く含まれています。