うつ病完治に向けて新たな光 | 健康トピックス

現代人に増えてきているうつ病は、夜なかなか眠れなくなるという不眠症状だけでなく、気分の落ち込みや意欲の低下など、患者本人や家族にとってはとてもつらい病気です。

いつになったら改善していくんだろうと、まるで先が見えない長いトンネルに入っているような感じがしてきて、ひどい場合には死にたいという気持ちにもなってしまいます。

10人に1人は一生のうちにうつ病を経験する

一生のうちにうつ病になる確率を示すうつ病の障害有病率は、5~15%と言われています。この真ん中をとると10%となり、まさに10人に1人が一生のうちで何らかのうつ病状態になるというのです。

しかも女性は男性の約2倍多いとされているので、特に注意が必要です。

わかってもらえにくいつらいうつ病の症状

うつ病には、次のようないろいろなつらい症状がでてきます。
不眠又は過眠
易疲労感(すぐに疲れてしまう)
気力の減退
精神運動制止
無価値感や罪責感を感じるようになる
思考力や集中力が低下する

この中で大切なうつ病の基本症状は、抑うつ気分と興味・喜びの喪失で、このどちらの症状も見られない場合は、典型的なうつ病ということにはなりません。
つまり、うつ病の場合、抑うつ気分があるか、興味や喜びの喪失があるのです。

うつ病になるとどうなるの?

うつ病になった場合、その後どうなっていくのでしょうか。

うつ病を治療せずに、そのまま経過した場合は、半年~1年でその6~7割の人が改善しています。
うつ病に対して薬物治療をした場合は、約3ヵ月で改善しますが、初発の人(はじめてうつ病になった人)の5割強が再発します。そして2%の人が自殺するとされています。

新しいうつ病治療への光

うつ病の治療は、休養、薬物療法、精神療法が行われますが、その中でも薬物療法には、塩酸イミプラミン、塩酸クロミプラミン、マレイン酸トリミプラミン、塩酸トリミプラミン、塩酸アミトリプチリン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸ロフェプラミン、塩酸ドスレビン、アモキサビンといった三環系抗うつ薬、塩酸マブロチリン、塩酸ミアンセリン、マレイン酸セチプチリンといった四環系抗うつ薬、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン水和物、塩酸セルトラリンといったSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)、塩酸ミルナシプランといったSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が用いられます。

うつ病治療には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が第一選択薬として最も広く使用されています。
しかし、その寛解率は半数にも満たないとされ、実際に5割強の人が再発していて、SSRIが効かない難治性うつ病患者を治療するための新たな方法や治療薬が必要とされています。

大阪大学大学院医学系研究科の研究グループは、脳にあるセロトニン3型受容体が、記憶を司る所として知られている脳の海馬に働きかけてIGF-1(インスリン様成長因子-1)の分泌を促すことが明らかになりました。

海馬には、神経幹細胞が多く存在していて、「海馬の神経新生」として新生ニューロンと呼ばれる新しいニューロン(神経細胞)が常に生まれていますが、それが抗うつ効果をもたらすことが発見され、新たな治療メカニズムとして注目を浴びています。

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