午前中の仕事を終え、ランチを食べて、昼休みをゆっくり過ごし、さて午後も頑張るぞ!という意気込みは良かったものの、午後の仕事が始まって1時間もしないうちから、睡魔が襲ってきてしまうというようなことはよくあることです。
特に午後の1時~2時前後は、眠い時間帯で、この時間帯は会議を極力さけているという会社もあるほどです。
中には、午後をクリアな頭でスタートさせたいからと、ランチを早めにとり昼休みに昼寝をするなんていう人もいるでしょう。
ランチ後の20~30分ほどの昼寝をすると、午後すっきりとして仕事を始められ、体を休めることもできる上、仕事を効率的にできることにもつながるのでお奨めです。
ランチを食べると眠くなるのはどうして?
それでは、どうしてランチを食べると眠くなるのでしょうか。
胃腸に血液が集中するから
これは昔からよく言われていることです。食べ物を食べると食べたものを消化しなければいけません。
そこで血液が胃腸に集まってしまうため、脳へあまり血液がいかなくなるために、脳に酸素が十分に供給できなくなり眠くなるというのです。
食後に眠くなる理由について、消化のために血液が胃腸に集中するということを多くの人があげていますが、これに異論を唱えている人もいます。
貧血の症状として眠気というのがあるのも事実で、また食べ物を食べると胃腸に血液が集中していくというのも事実ですが、もしそれだけなら、朝食後も眠くなるはずですが、朝食後に眠くなる人はあまりいないでしょう。
食べ過ぎたりすると、消化にエネルギーが使われ、眠くなるということも考えられますが、全く関係ないとは言いませんが、朝食のあとそんなに眠くなる人がいないことを考えれば、胃腸に血液が集中するということが主要原因ということではないでしょう。
食事によりインスリンが分泌され低血糖になるから
食事をすることによって、血糖値が上昇し、それを押さえるためにインスリンが分泌され、それにより一時的な低血糖状態となるため、脳の活動源とも言えるブドウ糖の量が減るため眠くなるというものですが、これは理屈としては考えられます。
しかし、これも朝食後にあまり眠くなる人がいないことを考えると、食べ過ぎれば別でしょうが、一因としての可能性はありますが、主要原因とは言いがたいでしょう。
体内時計により眠くなる
普通、人間は夜になると眠くなります。これは人間の中に体内時計があり、夜になると寝なさいということになるからです。
そして、この体内時計によると、午後の2時あたりにも眠気のピークがくる時間帯があります。
ランチを食べていなくても、午後2時ごろ眠くなるというのは、体内時計(概日リズム:サーカディアンリズム)があるからなのです。
血圧の日内変動やホルモンの分泌、自律神経の調節なども、体内時計が刻む生体リズムになります。
オレキシンと眠気
オレキシンは、脳のヒスタミン、ノルアドレナリン、ドパミンといった睡眠に対して覚醒的に働く神経系を活性させる視床下部で作られる神経ペプチドです。
つまり、眠らないで起きていようねというスイッチをONにして、眠気をなくす働きがありますが、このオレキシンが脳内に増えると食べ物の摂取量が増え、食後になるとオレキシンが減ってきます。
つまり、食後は、眠らないでねというスイッチをONにする働きがある神経ペプチドであるオレキシンが作られる量が減るために、眠気が襲ってくるのです。
メラトニンと眠気
睡眠のホルモンとも言われるメラトニンですが、メラトニンは体内時計に働きかけて眠気を促す働きがあります。
特に、メラトニンMT1受容邸は、入眠を促進する働きがあります。
食事をすると、食べたものを消化しなければならず、そのため胃腸が活発に活動する必要があります。そこで人間の体は胃腸以外の部分の活動を抑えます。
そして体がリラックスできるように眠気を誘発するホルモンであるメラトニンが分泌され、食後に眠くなるのです。