臨床検査での尿の検体はどうなるのか | 健康トピックス

健康診断というと必ず摂られるのが尿と血液です。その中でも尿は簡単にとれる検体です。
果たして、尿はどのように検査されるのでしょうか。

尿を検査することの意義

尿は、人間の排泄物として簡単に、しかも痛みもなく大量に摂ることができます。
尿には、体内で作られたいろいろな代謝物が排泄されてくるため、腎臓や尿路系の異常だけでなく、肝臓や内分泌系をはじめとしたいろいろな部分の異常を知ることができます。
尿中には、蛋白を始め、尿素・尿酸・アンモニア・クレアチニン・ビタミン・酵素・ホルモン・各種塩類などいろいろなものが排泄されてきます。
さらに、糖やアセトン体といった通常尿に含まれない量が検出されることにより異常を察知したりすることもできます。

尿はどのように扱われるのか

健康診断で尿を診るときに、紙コップと試験紙を渡されて、「尿を摂って、この試験紙をつけて、尿は捨ててもってきてください」と言われたりします。
このように、尿は採尿してからすぐに測定するのが大原則です。

どうしてすぐに測定するのかというと、尿はそのまま放置しておくと、尿中の有形成分が崩壊し、多くの化学成分も分解したり変質したりしてしまうからです。

だから尿検査は採尿直後の新鮮なものを用いるというのが大原則になっています。

それではいつの尿がいいのかというと、食後2時間以上経っていて、激しい運動後でなければ良いとされていますが、ベストは早朝第一尿が良いとされています。
もちろん場合によっては、食後や運動後の尿についても検査をする必要があるという場合もあります。

健康診断で診られないもの

尿検査と言うと、健康診断で試験紙をつけて診るというイメージがあります。
しかし、きちんとした人であれば、そのときに尿の外観もチェックしています。

尿外観

尿の色は通常は麦わら色~淡黄褐色です。この色は、尿中に含まれているウロクロム・ウロビリン・プルフィリンなどに由来しています。
ところが多尿であったすると水様透明になってきますし、血尿では当然赤くなります。
ビタミンB2を摂ると尿は黄色で蛍光がでますビタミンB2以外に便秘薬成分の中には、尿の色に影響を及ぼすものもあるので注意が必要です。

尿量

外観は、目視により確認ができますが、どうしても確認できないのが尿量です。
これは問診になってしまいます。
健常人であれば、成人の場合1日の尿量は1~1.5Lであり、1日に2L以上尿が出る場合には多尿、逆に0.5L以下であれば乏尿、0.1L以下であれば無尿と呼びます。
排尿回数は通常4~6回が普通で、尿の回数が多くなると頻尿ということになります。

尿沈渣

尿沈渣は、新鮮な尿を良く振って、その約10mLを摂り、1,500rpm程度で5分間遠心分離し、上澄みの液層を捨て管底の残渣を約0.2mL残して、その1滴を鏡検する検査です。
これは、健康診断では尿を摂り、試験紙を入れたら尿は捨ててしまっているので、この尿残渣検査はできません。

尿残渣には、赤血球・白血球・上皮細胞・異型細胞・尿中に由来する各種円柱・投与薬物の結晶などがみられます。これらのものを見つけることにより体の異常を見つけ出していきます。

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