最近、『睡眠負債』という言葉が認知されつつあります。
睡眠不足がもたらすからだへの悪影響は、まるで借金の負債のようにどんどん蓄積していき、返済しないでいると、やがてがんや認知症といった病気のリスクを高めてしまうというものです。
そして、この睡眠負債は、土日にたっぷりと寝たからといって回復できるものではありません。
一昔前までは、睡眠時間を削ってまで働いたりすることを勲章のように自慢していたりしましたが、今やそんなことを自慢していたら時代遅れになってしまいます。
徹夜ならずとも、ちょっとした睡眠不足も危険
徹夜をすれば、さすがに翌日はいろいろと仕事の効率なども下がってくることが自覚できると思いますが、ちょっとした睡眠不足でもいろいろと体に影響があることがわかっています。
米国のペンシルバニア大学医学部の研究では、被験者をいろいろな睡眠時間のグループに分けて、2週間、注意力や集中力を調査しています。
まずは8時間睡眠をとったグループでは、パフォーマンスの低下は観察できませんでした。
次に、徹夜をしたグループは、初日、二日目と成績が急激に低下していきました。
ここまでは予想どおりだと思いますが、問題は、6時間睡眠だったグループです。
最初はそれほど成績に変化はありませんでしたが、時間の経過とともに脳の働きが低下していき、2週間後には2晩連続で徹夜をしたグループと同じレベルにまで脳の働きが低下していたのです。
ちょっと睡眠不足のおそろしさ
ちょっと睡眠不足のおそろしさは、自覚しにくいという点にあります。
もちろん、2晩も徹夜をすれば、常に強い眠気などが自覚症状として現れます。
しかし、6時間睡眠だと、強い眠気などの自覚症状が感じられにくくなっているのです。
なぜちょっと睡眠不足は自覚できないのか
短い時間でも深く眠ることができれば、かなり疲れが取れたと感じることができますが、脳に蓄積された疲労そのものは、本当に十分に寝ないと解消できません。
ちょっと睡眠不足の状態が続くと、脳が自覚する疲れと、実際に蓄積した疲労との間にズレが生じてきて、それが自覚をしないままパフォーマンスの低下につながるということが考えられています。
あなたの睡眠負債はどの程度なのか、試してみるとよいかもしれません。
参考 : http://www.nhk.or.jp/special/sleep/
自分にあった睡眠時間とは
睡眠負債とはいえ、人それぞれ体質が違います。
そこで、自分にあった睡眠時間とはいったいどのぐらいなのかという疑問が生じてきます。
しかし残念ながら、現代医学では、個人個人に合った睡眠時間を算出する方法は確立されていません。
しかし、一つの方法として次のような方法があります。
長期休暇や連休など1週間ほど、目覚ましをかけず、眠くなったら眠り、自然に目が覚める時刻に起きるという生活をしてみるのです。
そして、そのとき自分が何時間寝ていたかを記録すると、自分にとって必要な睡眠時間がだいたいわかってきます。
10連休、いろいろなことを忘れて、体の思うままに寝て起きてをしてみると、自分が必要としている睡眠時間はどのくらいなのかだいたいの目安がつかめるかもしれません。