高校数学で習う微分・積分、かなり難しい計算問題なども出てきたりしますが、多くの学生は、だた教わった公式にしたがって計算をしているだけで、微分や積分の意味をあまり考えたことがないという人もいるかもしれません。
とにかく計算で正確な答えを出せば、テストで点数を取れ、受験でもそういった能力が必要とされているので、いたしかたないのですが、これが日本の教育の弊害というか、受験勉強で難しい微分・積分の問題をすらすら解く学生でも、微分とは何か、積分とは何かがあまり理解されていなかったりします。
微分って何?
微分の本質を一言で言えば、割り算と言えます。
小学校で習う割り算は、60kmの道のりを2時間で走ったら、時速何km/時になるかというような計算ですが、これは60km÷2時間=30km/時の割り算で出てきます。
しかし実際はずっと時速30km/時で走行するわけではなく、スピードメーターはどんどん変化しています。
それでは時間と距離の関係から、スピードメーターの速度、つまりある時刻における速度を求めるにはどうしたら良いのかというと、そういったものを計算するのが『微分』になります。
実は、日常の出来事で微分を説明するとなると、速度くらいしか思いつきません。
計算は積分よりも微分のほうが簡単ですが、本質を説明するとなると、微分よりも積分のほうが簡単なのです。
積分って何?
積分の本質を一言で言えば、微分の逆の演算で、掛け算と言えますが、わかりやすく言うと、面積を求める手段です。
ある曲線グラフがあって、その合計を求めたいとき、横軸を細かく区切り、長さの違う長方形の面積の和として求めていけば近似値が求められます。
これを限りなく無限に細かく区切っていけば、より近似値は実際の値により近づいていくことになります。
微分においても、積分においても、なるべく無限大に区切れば区切るほど、近似値ではあるもののより実施の値に限りなく近づくことになります。
したがって、微分や積分では無限大(∞)や、極限(限りなく近づく)という概念が大切になってくるのです。
限りなく近づく極限と無限大
例えば、f(x)=2x という関数があったとすると、xが5に近づくとき、f(x)はf(5)=10に近づいていきますが、この極限はあくまでも、限りなく近づく値であって、代入した値そのものではないのです。
もう一つ例を出すと、f(x)=1/x2という関数があったとき、x→0 の極限を考えた場合、数学の常識からすると0で割ることはできないので、f(0)は存在しないことになりますが、限りなく0に近づくということは考えられ、この場合、限りなく0に近づけば近づくほど、f(x)の値は限りなく大きくなり、つまり無限大(∞)になります。