空海の只管暗唱 | 賢脳トピックス

空海は、真言・虚空蔵求聞持法(こくぞうぐもんじほう)という方法で、超記憶力を鍛えていきました。

虚空蔵求聞持法とは

虚空蔵求聞持法は、「ノウボウアキャシャギャラバヤオンアリキャマリボリソワカ」という言葉を100日間かけて100万回唱えるという修行法です。

これを行うと、記憶力が劇的に高まると言われています。

もし「ノウボウアキャシャギャラバヤオンアリキャマリボリソワカ」を100万回唱えるとすると1日10分唱えたとして、27年4カ月ほどかかる計算になります。
1時間唱えると、4年半ぐらいで100万回になります。

空海レベルの超記憶力を得るには、毎日1時間「ノウボウアキャシャギャラバヤオンアリキャマリボリソワカ」を4年半も唱え続けなければならないということになります。

4年半もかかるのであれば、受験にも資格試験にも間に合わないし、よしんば4年半頑張るとしても、毎日1時間、しかも効果があるかどうかもわからないことをやり続けるのは並大抵の覚悟ではできないでしょう。

「ノウボウアキャシャギャラバヤオンアリキャマリボリソワカ」は、かなり早口でも1回の音読に最低、3.5秒はかかります。

空海のように100日間で100万回ということは、1日1万回唱えるということになりますが、そうすると1日11時間ぐらいずっと唱え続けなければなりません。

学校へ行っていたり仕事をしていたら、物理的にも無理です。

虚空蔵求聞持法を行った行者の中には、途中で挫折をしてしまったり、精神に異常をきたす者が出るなど、成し遂げるのが困難な荒行だといわれています。

只管暗唱

現代人にとって、空海のような超記憶法を身につけようとして虚空蔵求聞持法を行うのは現実的ではないですが、要は繰り返し音読、繰り返し暗唱することで、脳は活性化します。
この繰り返し暗唱する方法が、只管暗唱(しかんあんしょう)になります。

ある文章を読んで、これを完全に暗記します。
するとこれまでとは違った室の記憶回路が開けてきて、頭の中にその文章がそのまま絵のようにイメージとして出てくるようになると言われています。
もちろん、短い文章であれば5回や10回で暗記できるかもしれませんが、それでは浅い記憶にとどまったままです。

500回、1000回と繰り返しを多くしていくほど、潜在脳への記憶回路が開けて、潜在脳の深いところから映像が鮮やかに出てくるようになります。

脳の記憶に大きく関わっているのは大脳新皮質の側頭葉と、古皮質の海馬です。

外部から入ってきた情報は、側頭部で仕分けされ、保持されます。

忘れないように繰り返し記憶していくと、海馬に強く記銘されていくのですが、高速であればあるほど、右脳にある海馬にしっかりとした回路が築かれていきます。

只管暗唱が記憶に良い理由

只管暗唱で、何回も何回も繰り返して唱えていると、脳の深層意識が覚醒してきます。
普通に聞く音は鼓膜を通して入ってくる音で、浅い脳で処理されます。

しかし音読をすることで、鼓膜とつながっているツチ骨・アブミ骨・キヌタ骨を通して振動音として伝わってきます。

繰り返して無心で暗唱しているときの音は、側頭葉の言語野の働きを弱めて、振動音として脳の深層に伝わります。

このことで、間脳記憶が開かれていきます。

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