簡単そうでやっかいな計算の論理的思考 | 賢脳トピックス

簡単な分数の計算なら、小学生でもでき、算数がものすごく苦手という人でなければ、1/2+1/3ぐらいの計算は朝飯前でできるはずです。

穴埋めになると難しくなる

ところが、次のような問題が出されたとき、ものすごく難しく感じてしまったりします。

【問題】
17/18 = 1/ア + 1/イ + 1/ウ
ア<イ<ウであるとするとき、ア、イ、ウを求めよ。

問題の形としては3つの分数の和が17/18となっているというもので、
分数といっても、17/18と分子も分母も特別大きいという数字ではなく、簡単そうにみえます。

この式をどうとらえるのか

【解法】
通常、分数の足し算をするときは、通分します。

例えば、1/2 + 1/3を計算するならば、分母を2と3の最小公倍数の6にしてそろえ、3/6 + 2/6 = 5/6

ならば、18はアとイとウを通分した結果、つまりアとイとウの最小公倍数が18だと考えます。

そこで18を素因数分解すると、2×3×3となります。

なんだ、それなら1/2 + 1/3 + 1/3 とすると、ちょっと待て、これなら通分は6で良いわけだし、18にならないとなってしまいます。

しかし、分子の17は素数であるので、通分した結果、または通分してから約分した結果、分母が18になっていることは間違いありません。

なので、足される3つの分数の分母は、それぞれ2の倍数、3の倍数、3の倍数となります。

そこで、便宜上、2a、3b、3cとします。

すると、「1/2a + 1/3b + 1/3c = 17/18」ということになります。

ここまで考えられれば、もうこの問題は7~8割解けたようなものです。

最後の一工夫

まずは、「1/2a + 1/3b + 1/3c = 17/18」を計算してみるとこうなります。

とにかく通分しないと足せないので、分母はとりあえず、2a×3b×3c=18abc

分子は、3b×3c+2a×3c+2a×3b=9bc+6ac+6abになります。

つまり、(9bc+6ac+6ab)/18abc = 17/18です。

ここで一工夫が必要です。

17/18は、これ以上約分できません。

しかし、(9bc+6ac+6ab)/18abcは、分子・分母とも3で割ることができるので約分できます。

約分しすっきりさせると、「(3bc+2ac+2ab)/6abc = 17/18」となります。

6abc = 18

a、b、cはともに正の整数なので、もう組み合わせは限られます。

(a、b、c)=(1、1、3)、(1、3、1)、(3、1、1)

ここで、重要になってくるのが「ア<イ<ウ」という条件です。

「ア<イ<ウ」ということは、「ア≠イ≠ウ」でもあります。

「1/2a + 1/3b + 1/3c = 17/18」としてので、2a≠3b≠3cです。

ということは、bとcは違う数が入らないとまずいので、

(a、b、c)=(1、1、3)、(1、3、1)ということになります。

となると、(2a、3b、3c)=(2、3、9)又は(2、9、3)になり、アとイとウの3つの数字は、それぞれ2と3と9のいずれかになります。

「ア<イ<ウ」というであるので、ア=2、イ=3、ウ=9が答えになります。

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