人間については、1日の睡眠時間は7時間前後が理想的なのではないかと言われています。
人間のみならず、野生の動物でも、睡眠をとります。
睡眠中は、無意識状態となり、いわば敵に襲われやすい状態になるということで考えれば、危険を冒しているようなものですが、それでも動物が睡眠をとるというのは、それだけ重要な意味をもつ生理活動であるということが容易に想像できます。
不思議なレム睡眠
夢は、成人の睡眠の約20%にあたるレム睡眠の時、つまり眼球が素早く動いている状態の睡眠の時にみることが知られています。
実はこのレム睡眠ですが、脳が新しい情報や経験を整理・保管して、それをどのように適合させるのかを決定する時間として大きな役割を果たしていると言われています。
夢の中のある構成要素は、情報の無意識的処理と関係しているのではないかと言われていて、実際に日中接した新情報が多ければ多いほど夢を多く見る、つまりレム睡眠にあてられる睡眠の割合は高くなると言われています。
加齢によりレム睡眠時間が減少し、逆に子供のころはよく夢を見たというのも、新しい情報や経験に触れる割合の違いと関係があるのかもしれません。
脳は、進化の段階で買いに行けば行くほど、動物的な睡眠は少なくなり、夢を見ることも少なくり、睡眠中に何等かの再プログラム化が起きているのではないかと言われています。
こうした研究から、レム睡眠はおそらく記憶に影響を与えているのではないかと考えられるようになっていきました。
不思議なレム睡眠
イギリスのクリス・イジコースキー博士は、学生を2つのグループに分け、午前中に15分間で意味のない音節のリストを記憶するように言いました。
1つのグループは夕方にテストされ、もう1つのグループは翌朝にテストされました。
すると、睡眠を挟んで翌朝テストされたグループの方が、夕方にテストされたグループより非常に高い得点を獲得しました。
心理学者のパトリシア・ガーフィールドは、「夢は、意識している間に始めた作用を継続する。」と言っていますが、潜在意識を刺激する意図的な精神活動があった後は、レム睡眠中に学習材料の復習が促進されるのではないかと推測できます。
潜在意識に働きかけた面白い実験
精神科医のモートン・シャツマン博士は、面白い実験を行っています。
学生に、ひとまとまりの文字を渡して、そこには、「H・I・J・K・L・M・N・O」と書かれていました。
そして、「これらの文字は1つの言葉を表している。」と言いました。
すると、何人かの学士が、ヨット乗りやサメ釣り、どしゃぶりの雨の中を歩く、水泳をするといった水に関する夢を見たと報告したそうです。
学生は、無意識のうちに、HからOまでということで、H to O、つまりH2О(水)という回答を得ていたと考えられます。