方程式といえば、なんか簡単というイメージがありますが、不定方程式になると、なんか難しいという感覚を持っている人も多いと思います。
不定方程式は、解き方や出題パターンがいくつかあるため、苦手に感じている人もいるようです。
不定方程式って何?
そもそも、『不定方程式』って何?という人もいると思いますが、不定方程式は、方程式よりも未知数の数の方が多く、解がいくつも存在する方程式になります。
例えば、未知数xとyの2つに対して、5xー2y=4、6x+y=15という2つの方程式があれば、x=2、y=3と答えが求められます。
しかし、3x+2y=5のように未知数が2つあるのに、方程式が1つしか与えられていない場合は、解を1つに定めることができず、このように解が複数存在する方程式が『不定方程式』になります。
当然、つてい方程式の場合は、解は無数にあるのですが、「整数x、yの解」というように、求める解を整数に限定して出題されることにより解を求めていくことになります。
不定方程式の解には、一般解と特殊解があり、不定方程式の問題では、両方を求めなければいけません。
例えば、2x-5y=0を満たす一般解は、x=5k、y=2kと文字を使って表現し、どのような整数を代入しても、2x-5y=0が成り立つ解になります。
これに対し特殊解は、与えられた条件を満たす具体的な解で、「方程式2x-5y=0を満たす整数x、yの特殊解を1つ求めよ」と出題された場合、x=5k、y=2というのが、特殊解になります。
不定方程式のポイントは、互いに素であるかどうか
「互いに素である」ということはどういうことかというと、aとbの最大公約数が1であるという意味です。
2x-5y=1の場合は、2と5の最大公約数は1であるので、互いに素と言えます。
2x-6y=1の場合は、2と6の最大公約数は2であるため、1ではないので互いに素とは言えません。
「互いに素である」という状態の不定方程式は、整数解を持つという性質があるので、互いに素であるかどうかを判断することで、不定方程式に整数解が存在するかどうかがわかるのです。
ユークリッド互除法
不定方程式の解き方には、『ユークリッド互除法』、『因数分解』、『対象式・分数型』の3つがあり、本来はこれらを使い分けられるようにしなければなりません。
今回は、不定方程式「ax+by=1」の状態で、互いに素の場合でのみ使える『ユークリッド互除法』のやり方をみていきます。
『ユークリッド互除法』は、最大公約数を求めるときにもよく使われる方法なので、覚えておくと便利です。
知識・常識としてはここまでで十分だと思いますが、実際に受験で高校数学を勉強している人、数学オリンピックに興味がある人は、次の問題を挑戦してみてください。
「37m+13n=1を満たす整数の組m、mのうち、mの値が正で最小であるものを求めよ」
という問題があった場合、式をよくみると「ax+by=1」の形で、しかも37と13なので互いに素になっていることから、『ユークリッド互除法』が使えると判断できます。
37=13×2+11……①
13=11×1+2………②
11=2×5+1…………③
これを「余り=割られる数-割る数×商」の順に並び替えます。
11=37-13×2……④
2=13-11×1………⑤
1=11-2×5…………⑥
④を⑤、⑥の式に代入していく。
1=11-2×5
=11-(13-11×1)×5
=11×6-13×5
=(37-13×2)×6-13×5
=37×6-13×(12+5)
=37×6+13×(-17)
したがって、mの値が正で最小である解として、m=6、n=-17となります。
たしかに計算はややこしいですが、慣れれば解けなくはない問題です。