最近はAI時代ということで人工知能(AI)が何かと話題になるようになってきました。チェスはおろか、将棋や囲碁に関してもトップクラスのプロがAIに負けてしまうようになりました。

将棋や囲碁に留まらず、AIがますます発展していくと、将来的に私たち人間が職を奪われてしまうという脅威にもさらされることになってしまいます。

AIの強みは、何といっても深層学習(ディープラーニング)です。これは普通のコンピューターのように入力したことをただ記憶しておくというだけでなく、自ら学習するようになります。

記憶という点だけからしても人間はコンピューターにとうていかないませんが、それが自ら学習するようになるのですから大変なことです。

実際、あと10年~20年もすると現在ある仕事の約半分はAIやロボットが代わって行うようになるという予測まで出ています。

AI時代に生き残る考え方

多くの仕事がAIにとって代わられる時代、それじゃどうすればいいのかというと、AIにとって代わられない仕事や考え方ができるかとう点が大きなポイントになってきます。
単に記憶競争してもコンピューターやAIにはかなわないわけで、AIの強みの部分はAIに任せ、AIが弱い部分を人間が補完するという共存社会を目指していけばよいのかもしれません。

ところでAIが弱い部分といってもあるのでしょうか。万能選手のように見えるAIですが、どんな優秀な選手でも欠点があるのと同じで、AIにも弱点があります。そのAIの弱点についていろいろ記載されているのが、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)という本です。
この本の中で、国立情報学研究所の新井紀子教授は次のように言っています。

「AIの弱点は、万個教えられてようやく一を学ぶこと、応用が利かないこと、柔軟性がないこと、決められた(限定された)フレーム(枠組み)の中でしか計算処理できないことなどです」

「万個教えられてようやく一を学ぶことができる」というAIの弱点、これをつまり人間の強みと考えるならば、その逆である「一を聞いて十を知る能力」つまり「応用力」が人間の強みということになるのでしょう。

「一を聞いて十を知る能力」って何?

さて、「一を聞いて十を知る能力」と言われても、いったいどういうことなのかピンと来ないと思いますが、ずばり一言で言えば、「瞬時にして本質をつかむ能力」になるでしょう。
いろいろといっぱい情報がある中から、表面的な問題や枝葉末節な部分にとらわれず、ずばり物事の本質をおさえることができれば、あとはさまざまな状況に応用できるのです。

これを勉強や仕事のレベルでいうと、「要約力」であったり「抽象化力」と言ったりします。
会社でもいろいろと百科事典のように知識がいっぱいある人が仕事ができるのかといえば、必ずしもそうではありません。仕事がデキルと言われている人をみると、その多くは抽象化力を持った人ではないでしょうか。

わかりにくいので例えば次のような人ということで具体例をあげると、長い会議の後に、「今日の話をまとめますと、要は***ということですね。」と短くまとめられ、しかもその会議の出席者全員がうんそうだ!と納得言えるようなことを言える人ということになるでしょう。

なぜ「一を聞いて十を知る能力」が大切なのか

私たちの脳は実際に物事を考えるときに動くワーキングメモリ(作業記憶)はそんなに大きくはありません。
わかりやすく例えると、勉強机や仕事机で考えてみてください。
引き出しの中に入っている辞書や本がいわゆる私たちが今までため込んできた知識です。そして机の上がいろいろと思考をめぐらす場所です。
どんなに多くの辞書や本をもっていても、一度に机の上に広げられる辞書や本の量は限りがあります。また、机の上に出ている辞書や本の数が少なければ少ないほど、作業効率が上がります。

「一を聞いて十を知る能力」つまり抽象化力は、辞書や本のデータを圧縮データにするようなものです。
圧縮データ化されれば、当然机の上の占有率が低くなり、作業効率があがります、

データの圧縮する能力にすぐれた人、つまり抽象化力に優れた人は、より速く、より深く、脳に負担をあまりかけずに考えることができるのです。

抽象化力を伸ばす勉強法

それでは、この抽象化力を伸ばし、「一を聞いて十を知る能力」を身につけるにはどうしたらよいのでしょうか。

「抽象化力」を鍛える「勉強法」は、いろいろな知識を学ぶ際に、抽象から具体へ、具体から抽象へ、往復しながら整理し、体系づけて記憶・理解することです。
わかりやすく言うと、勉強して学ぶときに「要するにこれはどういうことだろう?」と自分につねに問いかけつつ、抽象化したり、「たとえばこれはどういうことだろう?」と問いかけて具体化する練習をしながら学んでいくことです。
ただ受験のために本に書いてある知識をそのまま暗記するのとは違います。

参考 : ノルウェーの教育・研究大臣お墨つきの勉強法