認知症になると、『見当識障害』というものがでてきます。
人や時間・場所といったものが、認識しづらくなり、今はいつ? ここはどこ? この人誰? といったことになってきますが、このとき本人はとても不安や恐怖を感じています。
昔に戻る心理
認知症になると、自分を実年齢よりも若いと思い込み、昔の世界に戻るというようなことがよくあります。
これは、特に男性の場合、働き盛りだった30~40代に戻るケースが多いとされていて、なぜこのようなことが起こるのかというと、認知症による不安を解消するために、自分がはっきりわかる時代や、元気で充実していた古き良き時代に戻るのではないかと言われています。
認知症になった男性が、「これから会社に行くんだ」と言ったりするのは、まさにこういったことなのでしょう。
こういう場合は、話しをよく聞き、安心してもらうために笑顔でじっくり話を聞きます。
そうすることにより、どのような場所や時間にいるのかが想像できるようになり、そうしたら認知症の世界と現実の世界のギャップ少なくなるように接していくと良いでしょう。
人の見当識障害
人の見当識障害が起こると、家族や親戚であっても、友人などの身近な人でも、認知するのが難しくなってきてしまいます。
また認知症で、過去の世界に戻っているケースなどでは、女性なら自分が子育てをしていた20~40代に戻っていたりして、中には10代にまで戻ってしまう場合もあります。
例えば、自分の子供でも、子供だと認識できてはいるものの、自分は40代なので、まだ子供は10代、だから孫はいないはずということで、実施に目の前に孫がいても、それが自分の認識とは辻褄が合わなくなり、孫と自分の関係がわからなくなってしまったりします。
服が変わるとわからなくなる
認知症では、人の顔を見分けるのが難しくなることもあり、その場合は顔ではなく声や体格、話し方、服装、アクセサリーといった雰囲気でその人が誰かを判断していたりします。
認知症の場合、目の前にいる人が本当に誰だかわかrないので、その間違いを正されても困惑してしまったりし、それが不安となり自尊心が傷ついていってしまうこともあります。
誤りを正そうとすると、不安につながるので、無理に訂正せずに、安心させるために一時的に話を合わせることも大切です。
ただし、あくまでも一時的に安心させることが目的なので、思い込みが定着しないように注意することも大事です。
また話すときは、手をにぎるなどスキンシップを取りながら話すと、安心してもらいやすくなります。