ご都合主義で考える人間のクセ | 賢脳トピックス

生きていると、自分の考えと現実との間でいろいろと矛盾を生じてくることがあります。
そのとき色々なことを人間は考えます。

アメリカの心理学者で社会心理学を研究してきたレオン・フェスティンガー博士は、『認知的不協和』についていろいろ提唱しています。

認知的不協和って何?

『認知的不協和』とは、自分の心の中に矛盾を抱えた状態のことです。

そして、レオン・フェスティンガー博士は、この『認知的不協和』が起こると、人は無意識にそれを解消しようとするのです。

その具体的な代表例として、次のようなものがあります。

ある宗教団体の信者たちは、「1954年12月21日に大洪水が発生して世界は滅びる。しかし自分たちは宇宙人によって助けられる。」ということを信じていました。

そもそも、そんな未来のことはわかりませんし、誰も予測できません。
百歩譲って予想できたとしても、自分たちだけが宇宙人によって助けられるなんていうのは、どこか話がぶっ飛んでいます。

もちろん、実際、当日になっても何も起こりませんでした。

信じる者は救われた?

ここで、信者たちは、心の中に「預言は必ず実現するはずだけど、実際には大洪水も起きなければ、宇宙人も来ていない」という矛盾が生じることになります。

そこで、信者たちはどうするかというと、「自分たちの信仰心によって神が洪水を防ぎ、世界は救われたのだ。」と考えるようになったのです。

本当にご都合主義で馬鹿らしいと思うのですが、実際にこういうことが起きているのです。

予言が外れたという事実の解釈を変化させてしまっているのです。

そのことで自分の中の矛盾を解消、つまり認知的不協和を解消したのです。

喫煙者でも長寿の人だっているじゃないか

喫煙は、一般常識からすれば、体に悪いもので百害あって一利なしということは、医学的にもきちんと証明されています。

なぜあんな体にとって毒なものを、いつまでも販売を認めて売らせているのかと、世界各国の政府自体、信じられないのですが、まあその話は置いておいて、喫煙者にとっては、喫煙が体に悪いという事実は、健康に悪いにも関わらずタバコを吸っているという自分の行為は、自分の中に矛盾を抱えた状態と言えます。

もちろん、そこで禁煙すればいいのでしょうが、そう簡単に禁煙もできずとなると、「喫煙者だって長寿の人もいる」、「喫煙を我慢することのストレスのほうが体に悪い」というような理由づけをします。

これも、自分の中にかかえた矛盾を解消するために、屁理屈をつけ、認知的不協和を解消しようとしているのです。

このように人間は、自分に都合の良い情報だけを選んだり、解釈をしたりすることで、できるだけ認知的不協和を起こさないようにしているのです。

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